聖護院 京極のブログ

天と地の間に新しいことなし(ことわざ)・・・人間の行動は今も昔も変わってはいない

京大研修医は『医者の不養生』

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画像は京都大学医学部附属病院 出典先:京都大学ホームページ

 

医者の不養生(ことわざ)

医者は患者に養生の大切さを説くものだが、案外と自分自身は注意していないことからこの言葉があります。この、言葉そのものには、悪いイメージで使用されることばかりではありません。「不養生だが腕は確かだ」という風に使うこともあります。しかし、今回のケースでは、よくありませんね。

 

京大病院職員38人も自宅待機 コロナ予防の飲酒会食禁止守らず、手術一時停止を容認

 京都大医学部付属病院京都市左京区)に4月から配属された研修医95人のうち6割に当たる57人が、新型コロナウイルス感染予防のため飲酒を伴う会食などを禁じた病院の方針に反したとして自宅待機となっていることが7日分かった。研修医以外も職員38人が同様の状況になっている。同病院は「患者さんに安全な医療を受けていただくための必要な措置。現時点で診療に支障は生じていない」としている。(後略)

(引用はここまで。引用先:京都新聞2020/4/7(火) 20:54配信)

 

続きは下記のサイトへどうぞ。なお、ヤフーニュースは、一週間程度の掲載です。

京大病院職員38人も自宅待機 コロナ予防の飲酒会食禁止守らず、手術一時停止を容認(京都新聞) - Yahoo!ニュース

 

この研修医などの会食で、今のところ新コロナウィルスに感染したという発表はありませんが、今後、発症者が出るかもしれません。その場合、クラスターとなることも十分にあり得ます。

 

彼らだけでなく、我々は、『自分だけは大丈夫』と思いがちです。これを心理学では、『正常性バイアス』というのだそうです。

 

人間が予期しない事態に対峙したとき、「ありえない」という先入観や偏見(バイアス)が働き、物事を正常の範囲だと自動的に認識する心の働き(メカニズム)を指します。何か、正常性が付くと良さそうに思い得ますが、非常に危険な認識ということになります。

 

このことは、自然災害で起きる場合に、よく耳にします。台風などの暴風雨の危険な時に、危険な場所にわざわざ行ったり、災害が目の前に迫っていても、まだ大丈夫と避難しないなど、日本ではそれで命を落とすことがよくあります。これも『正常バイアス』です。『正常バイアス』と呼ばれるのは、結局それが人間のごく普通の反応だからでしょうね。

 

この傾向は元気な若い人や意外にも知識人、そして年配に多い。その『自分だけは大丈夫』という意識はどこから来るのでしょう。その自信は何から湧くのでしょうか?

 

京大の研修医たちは、新型コロナで不運にも罹患したり、その医療現場の人達の置かれている立場や深刻な状況に、医者となろうとする身であり、理解は十分にあるはずです。しかし、ここで『正常バイアス』が働いたとしか、思えません。『正常バイアス』が働くと、危機感も共感や同情も起きません。

 

 

先般、慶応大学病院でもほぼ同様の出来事がありました。岐阜大学付属病院の精神科医のナイトクラブで感染しました。また、京都産業大学でもありました。共通して、病院や大学は自粛を呼び掛けていたにも関わらず、同じことを行っています。

 

 

日本の著名な整形医は、彼らに、自宅謹慎より、新型コロナウィルスの最前線の医療現場で、働かせてみよと提言しています。確かに、何よりの良い経験になると思います。しかし、それは、彼らが陰性だと確定してからにしてもらいたいものです。

 

今、これらの人たちが病院や自宅で何を考えているでしょうか。運が悪かったなどと思わないでほしい。真摯、医療現場で奮闘している仲間に、どれだけつらい思いをさせているのかを考えてほしい。

 

わたしたちおいても、互いにこのことを『他山の石とする』としなければなりません。即ち、『人のふり見て我が振り直せ』ですね。