聖護院 京極のブログ

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韓国4月は貿易赤字

 

 

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画像出典:朝鮮日報(韓国)

 

韓国4月貿易赤字9億4600万ドル、20大輸出品目のうち17品目が減少

 記事入力 : 2020/05/02 09:30 

 

 4月輸出24%減

石油製品57%減、自動車部品50%減…黒字行進終わり赤字継続の懸念

政府「内需要件、主要国よりも良好」

専門家「このままなら危機がいっそう早まる」

 

先月の韓国の貿易収支(商品の輸出入差)が99カ月(8年3カ月)ぶりに赤字に転じた。

 産業通商資源部が1日に発表した4月の輸出入動向によると、新型コロナウイルス問題で世界経済が冷え込んでいるため、先月の輸出(369億2300万ドル=約3兆9482億円)は前年同月比で24.3%減少したとのことだ。国内消費・生産も振るわず、輸入(378億6900万ドル=約4兆493億円)も前年同期比で15.9%減少した。しかし、輸出の減少幅があまりにも大きいため、9億4600万ドル(約1011億円)の貿易赤字が出た。輸出を支えていた半導体(72億ドル=約7700億円)が14.9%減、自動車(部品を含め34億ドル=3636億円)が40.9%減だった。韓国の20大輸出品目のうち17品目が減少だった。

 

 来月発表される4月の経常収支(貿易収支にサービス・所得収支を加えたもの)も大規模な赤字になるものと見られている。外国人配当が先月、海外に一斉に流出したためだ。輸出が短期間に回復する可能性は低い。中国・米国・欧州などの主要輸出市場の状況はますます悪化しており、先月30日(現地時間)、欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は「今年のユーロ圏(ユーロ通貨使用19カ国)の経済は最大で12%縮小する可能性がある」と述べた。

 柳井(リュ・ジョン)記者 朝鮮日報朝鮮日報日本語版

(全文を引用)

なお、朝鮮日報の記事は数日程度で削除されることが多く、リンクを貼りませんでした)

 

新コロナウィスルの世界蔓延により、多くの国の国内における需要が落ち込み、その影響は日本でも同様です。輸出企業の多くが大幅な減益に落ち込んでいます。よその国が要らないものを輸出することは出来ませんから仕方ありませんね。

 

韓国の貿易は常に黒字を続けてきました。それは、コロナの前の世界的な経済不況の時にあってもそうでした。なぜ黒字になるかといえば、輸出より輸入が常に減少しているからです。つまり、経済規模の縮小です。今回の貿易赤字は輸出の減少が輸入の減少を超えたということになるのでしょう。

 

 

韓国は、輸入品を加工して輸出する典型的な加工貿易国です。その加工する時に発生する利益が僅(わず)かです。このため霞のような利益をすくって食べていると揶揄されるます。それは、加工する部分に韓国独自の付加価値が加味出来ていないのが原因です。

 

韓国独自技術を加味したいと韓国自身も考えており、努力もしてはいるのですが、社会が結果を早く望み過ぎるため、研究開発費が途中で途切れてしまい、じっくりと腰を据えた研究が出来ません。そのため、独自の技術を考えるより、輸入してしまえとなってしまうのです。

 

要するに、韓国は日本やアメリカに遅れまいとするあまり、基礎研究がなおざりになってしまっています。ですから、薄利多売をしなければならないことが、韓国企業至上命令なのであり、輸出量が減ることは、すぐに企業の存続危機になります。殆どの企業が利益の蓄積が無いためです。

 

 

■ 韓国は輸出立国(ドイツも)

韓国の場合深刻なのは、GDPに占める輸出比率の大きさです。実に7割を占めており、対中国では、25%も占めています。中国のくしゃみは韓国では肺炎になるほど大きな影響が出ます。輸出比率の高さでは、ドイツもほぼ同じですが、ドイツは韓国と少し事情が違います。

 

ドイツの場合は、国内に需要を作ろとすれば可能ですが、政府が財政出動を前年比で増やさないか、減少させています。それは、日本の財務省が好きな財政改革と同じ政府の債務を増やさないという目的のためだけです。財政均衡政策の一環なのです。輸出が順調に前年比で伸びている時には、それも必ずしも悪くないでしょう。しかし、一旦世界需要がこのような減少に転じた時、非常に国内産業の行き詰まりは深刻になります。

 

 

■ 内需の深刻な低迷

韓国の場合は、国内企業が生産するものに殆ど国内の需要が起きません。生産による供給力はあるのですが、それを買う企業、消費者がいません。理由は、国内の企業や消費者が、お金の余裕がないからです。しかし、韓国の企業にも消費者も需要がないというのは、正しくはありません。需要はあるが、金がないが正しいのです。それは日本も同じです。そして、日本においても正しくは、需要はあるがお金がないのです。

 

わたしたちは、今何も欲しいものがないでしょうか?

 

そんなことはありません、欲しいものは一杯あります。古くなった冷蔵庫、洗濯機、オーブンレンジなど買え替えたいものは一杯あるのです。しかし、それを買うお金がありません。日々の生活で目いっぱいなのです。したがって、欲しいものはあるが、何とか無理をして使い続けることは出来るので買わずにいるだけなのです。

 

 

■ 国内に労働市場がない

韓国は、内需が無い以上韓国内で生産したものは、どこかの国で売り捌くしかない、過剰生産となっています。そして、輸出で他国と競争して打ち勝つためには、薄利で多売しなければなりません。韓国の大企業は国内で生産を殆どしません。人件費が高いため、海外生産なのです。

 

中国やベトナムなどに工場を置いています。企業は安い労賃で製品を作り、その分を安く売って儲けます。そのため、韓国民は失業が高止まりしています。韓国の有名大学であるソウル大学高麗大学を卒業しても、就職できるのは7割にも至りません。

 

 

韓国に工場を持たないのですから、就職先が増える筈がありません。収入も人余りでは上昇しません。企業は利益に太りますが、その儲けが韓国内に何かの投資に回らなければ国民はその恩恵に浴することは叶いません。

 

韓国企業は、深い技術力がある製品がないため、常に世界に先手を打たねばなりません。アップルがこんな製品を出す計画だとわかれば、サムスンはそれに先駆けたものを作り売り出さねばなりません。しかもそれが、アップルと同等かそれ以上に機能的でありながら、安くなければ売れません。国内にある強力な労働組合が構えている現状では、外国に生産拠点を持つしかありません。

 

■ 大統領の政策でさらに悪化

企業が国民を思いやる立場にはいません。過剰生産を韓国内で消費出来るようにするにはどうすればよいのかを考えるのは政治家の仕事ですが、これが韓国の場合は非常に難しい。韓国人以外の政治家でも今の韓国の経済を立て直す方策を打ち出すことは、不可能に近いと思われます。

 

それを、文大統領は無邪気にもさらに悪化させる経済政策を、次々と打ち出しています。企業に労働者の給与の引き上げを命令し、企業は支払いを少なくするために人員整理をしたり、小企業は倒産に追い込まれ失業率は上昇しています。さらに、国内企業のコロナショックによる損失を、赤字国債で埋めようと計画していますし、他の予算を削って企業救済にも当てています。

 

しかし、国内外に韓国製品の需要が無い以上、救済しても底なしの状態です。結局、国営企業化してしまうしかないでしょう。国営化しても、赤字は続くでしょう。韓国政府の国内外への債務は膨大化しています。

 

この先しばらくは、輸出は下押しするでしょう。マイナスが続くでしょう。その間に、為替がウォン安に進行して、国内物価が高騰するインフレが持続的に続きそうです。不景気なのにインフレは最悪です。これをスタグフレーションといいます。

 

放っておくと、一輪車に一杯のお金でコメ一升とかしか買えないというようなこともあり得るでしょう。こうなると、暴動レベルといえます。ここに至っては、もはや、韓国政府の対外債務へのデフォルト(債務不履行)と最悪に至るでしょう。それを回避することは、今の韓国においては、きわめて困難です。回避する手段はもはや無いからです。