聖護院 京極のブログ

天と地の間に新しいことなし(ことわざ)・・・人間の行動は今も昔も変わってはいない

異常に低いロシアのコロナ致死率

 

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プーチン大統領とロシア国旗

 

世界3位の感染者総数のロシアの新コロナウィルスの一日の感染者数は、5月当初の一万人を上回るペースから5月13日(水)頃から落ち着いてきて、8,000人後半から9,000人後半で推移しています。どちらかといえば、9,000人台後半の日の方が多い。

 

 5/27          感染者総数    前日比      死者総数    前日比

 

ロシアの累積感染者数は、5月27日(水)の夜の段階で37万人を超えています。しかし、死者数は、感染者増加数に比べて非常に少なく、未だ3,900人をやや上回っているに過ぎません。他国と比較すれば、その少なさに首をひねざるを得ません。

 

例えば、同じヨーロッパであれば、(5/25)

スペイン(ロシアのすぐ下、世界4位)で感染者総数 283,000人 死者総数 27,000人

イギリス(世界5位)        で感染者総数 265000人 死者総数 37,000人

イタリア(世界6位)        で感染者総数 230,000人 死者総数 32,000人

 

と比較して、

 

ロシアの3,800人は文字通り桁違いに少ないと言わねばなりません。しかし、どの国にもその国特有の事情があるので、一概に問題と決めつけることは出来ません。日本なども、感染者や死者数をごまかしていると散々に非難されました。とはいうものの、これには、ロシア国内からも、疑問の声が上がっていることも事実です。

 

アングル:異常に低いロシアのコロナ致死率、「遺族」も異議

 2020年5月21日 / 12:06  

 

この記事の雰囲気を読むと、どうやら新コロナウィルスに感染し死亡した人が、それ以前に持っていた大きな持病があればそれは持病による死亡とカウントしているようですね。

 

ロシア当局は、この疑いに反論しています。

 

 モスクワ市、新型コロナ死者統計の不正否定 検視で6割が他の死因

2020年5月14日 / 12:29

[モスクワ 13日 ロイター] - ロシアの首都モスクワ市の当局は13日、4月に市内で死亡した新型コロナ感染者のうち、6割以上の死因を新型コロナ以外として統計上処理したと明らかにした。当局は、検視によって「極めて正確」に死因の特定をしたとし、統計の不正を否定した。

(引用ここまで)全文を希望の場合は下記サイトへどうぞ。

https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-russia-death-idJPKBN22Q0BK

 

ロシア独自の統計の仕方があると主張されれば、数値に関してはそれ以上踏み込むことは出来ませんが、少なくとも34,000人程度の死者がカウントされていても不思議ではありません。たとえ、数字を操作していたとしても、それは我々外国に有害であることは殆どなく、ロシア国内において非常に有害であるだけです。

 

つまり、ロシア国内からもっと声をあげる必要なあるのではないでしょうか?もし、疑問をもつのであれば。

 

ただし、感染者が大幅に増えて来ているのですから、タイムラグ(時間のずれ)で死者が2週間後とかに急増する可能性は十分にあるといえます。

 

 

■ 背景にロシアの経済危機?

ロシアは現在、経済危機にあります。ロシアの経済は、天然資源の輸出による外貨収入に依るところが大きく、中でも原油天然ガスが主たるものです。しかし、原油は世界的な新コロナウィルスの蔓延による経済活動の低下で大きく需要が減少しています。

 

原油価格は大きな下落しており、5月27日(水)で1バレル=32ドル程度です。ひと頃の20ドル台からは戻したものの、大幅な下落です。原油生産では世界2位のロシアの原油生産の採算ラインは40ドルとして予算を組んでいます。従って、生産をするだけで赤字が拡大することになります。

 

そのため、ロシアの外貨収入は減少し、経済の落ち込みに合わせて通貨安に見舞われています。プーチン政権が国民から指導者としての地位に疑問が拡大しないように、意図的に少なくしたとの疑いはなかなか免れそうにもありません。

 

経済の低迷と新コロナウィルスでの死者数の増加で、政権基盤が危うく、体制を立て直す必要に迫られていますが、解決策は原油の価格の上昇しか望めません。ロシアは、この苦境をどのようにして乗り越えることができるでしょうか。