わたしたちは、貰った給料を無駄遣いせず、
『いくらかを貯金をしなさい。積立貯金がいいだろう』
などと、働き始めた子などに言います。これは、今の日本に於いては正しいでしょう。しかし、他国では正しいとは言い難い。なぜなら、通貨が安定し、デフレの国でなければ、おカネ価値を大きく変えてしまうからです。
貯金するほどの収入がない、或いは、貯金したいけど出費が多すぎて出来ないなどの反論はあるでしょうが、それは、別の機会に考えるとしましょう。
それでは、まず貯金が今の日本に於いてなぜ有効であることの理由を考えてみます。ただし、度を超えた貯金は、デフレ下にある日本にあっては有害です。出来るだけ使って欲しい。
■ 通貨が安定している
日本の通貨である円は、非常に安定している通貨です。現状で107円程度で下にも上にも殆ど大きくはブレません。従って、日本が他国から輸出入する商品の価格も大きく変動しません。輸入品でいえば、値上がりも値下がりも驚くほど変動しません。こういう時には、どうして必要でなければ、無駄に輸入品を買う必要はないでしょう。おカネを持っていても良いと思います。
■ 円安になる時
円安になる時に困るのは、輸入品が値上がりするケースです。たとえば、日本の輸入業者がアメリカから1万円で買えてバッグが1万5000円ださないと買えないといったことになります。それだけ、日本円が対外的に安くなったということを意味します。
しかし、今の日本に於いては、円安は長くつづきません。すぐに円安前の水準に戻ってしまいます。円安に振れるのはほんの1週間程度でしょうか。日本の製品の競争力があるので、円安に振れると輸出が急増し自然と円高になるからですが、1週間程度では、そういうことでさえ起こる長さではありません。経験的に自然と為替が修正されるようになってしまっています。
今の円高円安は為替の為替の売買者の思惑買いで上下しているだけです。
■ 円高になる時
円高になる時の方が円安になる時よりずっと多いのが現状です。円高になると、輸入品は安く買えるので、わたしたちのおカネが目減りすることはありません。ただし、外国産の農産物が不作、肉が伝染病で生産が減少しているなどの時には、円高のメリットをカバーしきれず、日本での販売価格が値上がりします。政府は、別の国から緊急輸入をすることになりますので、これも長くは続きません。
■ 今の日本はデフレ
日本の20年以上も続いているデフレは、モノの価値よりおカネの価値の方が勝(まさ)っています。デフレは供給に対して需要が落ち込んでいる状態ですので、市場での競争によって、モノの値段が下がりやすくなります。モノを生産している会社は少しでも他社より安く売ろうとしていることからも、現在の日本がデフレであるという証明になります。
■ デフレ下ではおカネが一番
こういう時には現金がものを言います。おカネさえ持っていれば、より安いものをいつでも買えるからです。しかも、おカネの値打ちはモノの値段に競って負けません。モノの値段は新製品が発売されても、どんどん下落していきます。余程の新製品がヒット作でない限り。
■ 総合すれば
今の日本では、以上のように貯金をすることは意味があります。おカネの値打ちが落ちないのですから。それどころかデフレでは値打ちが上がるのです。そこで、銀行におカネを預けても、雀の涙以下の利子しか付きませんが、預けていても目減りの心配がなく安心です。
そこで、現状で、大きく通貨安になっているお隣の国、韓国についての記事を見てみましょう。
コロナ恐怖横目に、韓国の過熱マネー投資
020/05/26 07:00 記事元 JBpress
マンション分譲に20万人が応募し、シャネル売り場に長蛇の列――。
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行を受けて、韓国の経済成長率や雇用、企業業績などへの影響が今後さらに本格化するとの見方が強い。
そんな中で、過熱ともいえる個人の消費や投資があちこちで見られる。
「こりゃいったい何だ?」
2020年5月13日午前、ソウル中心部のロッテ百貨店前。開店前だというのに、建物をぐるりと取り巻いて行列ができている。
ロッテ百貨店を取り巻く行列
一緒にいた韓国人の会社員と「そういえば、昨日も行列があった・・・」と思い出した。
この会社員が、スマホで検索してその理由を明らかにしてくれた。
「シャネルですよ。シャネル…近く値上げするんですね」
「シャネル?」。シャネルってあのブランド品のことなのか?
ブランド品に関心がない筆者は気づかなかったが、ニュースではこの行列のことを盛んに取り上げていた。
韓国メディアによると、5月7日前後に、14日からの値上げが明らかになった。「値上がり前に買わないと」とばかり、店に客が殺到したのだ。
(引用ここまで。 同サイトは、一定の日が経ちますと、有料になり、他社への配信は、削除されますので、敢てここではサイトを記しておりません)
■ 不動産投資に向かう理由
この記事の韓国の人たちは、コロナの不況の中でこのようにマンションや高級外国品を買うのか、これまで述べてきたことで理解していただけると思います。自分の財産であるウォンが通貨の変動で安くなるとウォンで持っていても、貯金をしていても目減りするだけなので、このような行動をとっているのです。これは、韓国の人たちでなくても、日本の人たちも同じ立場、つまり、過度の円安になれば同じことをするでしょう。
不動産は通貨安に対して強い抵抗力を持っています。利便性のよい土地や住宅などは、いくら通貨安でウォンが値下がりしてもその価値を殆ど失いません。従って、韓国の人たちが、コロナ不況下でウォン安になれば、条件の良い不動産に投資が向かうのは当然です。
韓国経済は輸出偏重型であるため、コロナで輸出が激減すると、経済の打撃が大きくなる、或いはなるのではないかといった予想から、通貨が大きく変動します。ウォン安です。ウォン安になると、輸入品は大きく値上がりします。
■ 高級外国品買いに向かう理由
それゆえ、シャネルなどのブランド品が、ウォン安で値上がりするとなると、目減りするウォンに変えて買って置こうとするわけです。持っていれば、値上がりもきたいできますしね。
先日、ロシアの日本在住の女性が、ロシアでは、貯金などは誰も殆どしないといっていました。モノで持つようにしているとも言っていました。ロシアの通貨ルーブルも通貨安に振れ続ける通貨なので、人はおカネに信用を置いていません。
■ 結局
結局、殆ど日本だけが貯金することが有効であるといえます。しかし、どんなこれから先においても、同様であるとは言い切れません。もし、貯金をするおカネがあるなら、2/3は他の価値の変動が大きくならないものに変えて持っていた方が良いと思います。不動産、金(きん)などに。
生きている間に、そんなことはあり得ない、こんなことはかんがえられない、というようなことはいくらでも起きるのが世の中です。最悪の事態も想定して、いざという時のおカネと心づもりを用意しておきたいものですね。