聖護院 京極のブログ

天と地の間に新しいことなし(ことわざ)・・・人間の行動は今も昔も変わってはいない

北朝鮮に眠る膨大な地下資源

 

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画像出典:world business site  (TV TOKYO)

北朝鮮には地下資源が10兆ドル(1080兆円=1ドル108円換算)程度が眠っていると言われています。その金額は発表の機関でも相当上下に差があります。しかし兎も角として、北朝鮮の豊富な地下資源は戦前・戦後共に注目され続けてきました。

 

それは、確定量が明確ではないものの日本統治時代から、鉄鉱石、石炭などの一部鉱物が豊富に生産されていたところからも確かのようです。日本が、朝鮮半島に進出したのも、この資源獲得が目的であったろうと思われます。現在では、更に多種多様な地下資源があることが確認されています。

 

日本が北朝鮮の地下資源に目を付ける以前に、李氏朝鮮時代に、西洋の列強と言われる国々が採掘権などを幅広く有していたことから、この頃から北朝鮮の地下資源は世界的にも注目されていたのであろうと思われます。

 

しかし、現状の同国ではそれも「宝の持ち腐れ」の状態に近いものがあります。

 

勿論、まるで生産されていない訳ではないものの、生産技術の近代化の遅れや設備の老朽化が進んでいることから、その資源の多くが手つかずのままです。国民はその土地の上で日々空しく飢えています。

 

 

朝鮮半島では「北の鉱工業、南の農業」という言葉がかつてあったほど、金などをはじめ北部の山岳地帯で様々な鉱物が採掘されてきた。大韓商工会議所が2007年に出した報告書によれば、マグネサイト、タングステンモリブデン黒鉛蛍石など7種類の鉱物の埋蔵量が世界トップ10に入る。

 

同年までに把握されている北朝鮮の鉱山は約760か所であり、そのうち30%が炭鉱である。同国の地下資源は200種類以上に達し、経済的価値を有する鉱物だけでも140種類を超えると見られる。

 

北朝鮮における鉱床は、生成時期別に以下のようなものがある。

先カンブリア時代:ニッケル
原生代 - 古生代マンガン
三畳紀 - 新第三紀:金、銀、銅、鉛、亜鉛モリブデンタングステン、ニッケル、コバルト、マンガンアンチモン
第四紀:砂金

また、無煙炭は古生代の、褐炭は新生代第三紀の地層に、それぞれ存在している。黄海の堆積盆地には石油が埋蔵していると見られるが、大規模な商業採掘には至っていない。』出典:Wikipedia

 

 

■ 軍政下の北朝鮮

二次世界大戦で北朝鮮ソビエト軍下に入り、1946年に軍政となりました。この後、南北朝鮮戦争で多数の人的被害を受け、工業を復興しようとした政府の計画は、当初は韓国を上回る経済復興でしたが、労働力不足により、伸びが続かず、その後のオイルショックにより、地下資源の輸出が低迷。諸外国からの借り入れ金の返済が滞り、日本を含む西側が離れていきました。

 

この後、北朝鮮は東側諸国(中国やソ連)へ近づき、地下資源とバーター交易による石油やコークスを得ていましたが、1991年12月ソ連の崩壊以降、社会主義経済が崩壊するに至り、経済が一段と低迷。加えて、鉱物生産設備も老朽化して、外貨獲得が大きく減少しました。

 

その後、中国との関係が深まり、投資を受け入れ、国際援助により食料の確保にもめどが立ち再び鉱業生産高は上昇してきましたが、設備の老朽化の進行により、現状ではかつてのあった勢いを上回ることが出来ていません。

 

 

■ どのような資源が眠っているのか

ここからあげる北朝鮮の地下資源についての記述は、推定ではありますが、それでも相当豊富で多種多様です。推定が多少盛ってあるにしても、羨ましい程ですが、それが国民の生活を豊かにし、平和で幸福な国づくりに利用されないのなら、何の値打ちもありません。

 

北朝鮮に埋蔵が確認または推定されている地下資源。(世界〇位とあるのは埋蔵量ランキング)

  • 金      92か所の生産地。総埋蔵量2,000トン。
  • 鉄      主要生産地の茂山鉱山だけで推定埋蔵量15 - 20億トン。
  • タングステン 国全体の推定埋蔵量は24.6万トン。世界二位。
  • モリブデン  国全体の推定埋蔵量は24.6万トン。世界二位。
  • 銅鉱石    国全体の推定埋蔵量290万トン。
  • マンガン   国全体の推定埋蔵量30万トン。
  • マグネサイト 国全体の推定埋蔵量60億トン。世界一位。
  • 石灰石    国全体の推定埋蔵量1,000億トン。
  • グラファイト 国全体の推定埋蔵量200万トン。黒鉛ともいう、世界三位
  • 石炭     国全体の推定埋蔵量90億トン。
  • 石油     黄海の領海に埋蔵が推定されている。量は不明。

 

 ■ 地下資源の利用用途

  • 金      先端の電子機器の回路、化学、工学、メッキ、貨幣、金資産
  • 鉄      鉄を利用した工業製品、ステンレス、工具類、一国の国力の指標
  • タングステン 高級な切削用工具、砲弾、耐熱性の要求の製品類、フィラメント、指輪
  • モリブデン  合金の添加元素、ハイブリッドカーやロケットの基盤、液晶パネル
  • 銅鉱石    銅を利用した工業製品、貨幣、装飾品、建築資材、食器、合金、造像
  • マンガン   マンガンやリチュウムの電池、合金と利用が最多
  • マグネサイト ビーズなどの装飾品
  • 石灰石    コンクリート骨材用、鉄鋼用、道路用、ソーダ・ガラス
  • グラファイト 鉛筆の芯、新幹線のパンタグラフ、自動車のブレーキパッド
  • 石炭     製鉄用コークス、石炭化学工業、都市ガス、セメント
  • 石油     ナフサ、ガス、燃料、軽油、潤滑油

 

 

 

■ 北朝鮮が世界に身構える理由

北朝鮮が世界に対して身構える理由は、この豊かな地下資源が理由なのかも知れません。それは、自国に持ってはいるが、採掘できる技術も資力もない。それを産出するには、外国からの資本を入れなければ不可能であるが故に、資源と引き換えに導入した設備費の膨大さによって、それ程、国が豊かになれないのではないか?

 

 という疑念を払うことが出来ないのではないでしょうか。確かに、北朝鮮の以外の資源国でも、その資源によってそれ程豊になったという例も多くは有りません。利用のノウハウや精製設備を持っていない現状では、「掘って売る」だけの立場に危惧を抱いてもおかしくは有りません。

 

韓国の文大統領が南北(朝鮮)で力を合わせれば、日本に勝てるといったのは、北朝鮮の地下資源を念頭に置いたものであるとの指摘もあります。

 

 

■ 北朝鮮にとれる道

『資源だけを盗み取られるだけだ』

という疑念は、もっともかも知れませんが、現在の眼を覆うような経済低迷と貧困の打開策は、地下資源を担保とする外資の受け入れなどの開放政策以外にはありません。又、かつて踏み倒した外資への返済も消えたわけではありません。97年の段階で100億ドルあると言われており、未返済なので、利子は今も増加中です。

 

そのためには、核などの固執せず、開放政策をとる以外にはありません。が、それは、金書記長をはじめとする今の指導部の立場を危うくする可能性もあり、迂闊に開放も出来ません。国民が豊かになって、指導者が倒される事実は、少なくありませんから。

 

アメリカや中国が金書記長を今の地位から引きずり落とすことがそう難しいことではないでしょう。ただ、今の政権が倒れると、大量の難民が中国に雪崩込んだり、日本に押し寄せてきたりする可能性は拭えません。従って、核放棄や拉致問題を決着してくれさえしたら、何も言うまいが本音でしょうね。

 

 

 ■ 金書記長の動静

先般、医療施設建設現場に現れた金書記長ですが、影武者ではないかとの噂もあります。すでに、同氏は人事不省(じんじふせい)に陥っているとする説も根強くあります。つまり、病や重傷などで意識不明になり、昏睡こんすい状態にあるとのことです。

 

建設現場に現れたのが影武者であるとする裏付ける証拠として、

医療現場の視察で居並んで拍手をする格下の部下に、軽く頭を下げ会釈している映像をあげています。あの、金委員長が、そんなことをするべき人は、現在の北朝鮮には存在しませんから。

 

わたしも、一度見ましたが、ことの真贋を見極めるには、至りませんでした。