聖護院 京極のブログ

天と地の間に新しいことなし(ことわざ)・・・人間の行動は今も昔も変わってはいない

日本の探査衛星の燃料に朗報

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画像出典:JAEA

 

アメリカの宇宙探査衛星「ボイジャー2号」や「ニューホライズン」が冥王星天王星の画像を送って来たニュースを何度か見たことがありました。1997年に打ち上げられた「ボイジャー1号と2号」は実に40年以上も稼働し続けています。また、2006年に打ち上げられた「ニューホライズン」も現在でも健在です。

 

ボイジャー1号」は2012年に太陽系を離脱してなお飛行し続けています。この自力の飛行は、搭載されている『原子力電池』が尽きるまで続くといわれています。

 

果てしなく、漆黒の宇宙を飛び続けて、やがては機器の老化や宇宙線による破壊で、地球との通信不能に陥りそこで永遠の別れとなります。

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ボイジャー2号が撮影した天王星の画像

画像出典:Wikipedia

 

 

■ 「ボイジャー2号」や「ニューホライズン」の原子力電池とは

ボイジャー2号」や「ニューホライズン」の飛行燃料や通信必要な電力の供給はどうなっているのでしょうか?それは、太陽光パネルではせいぜい木星までで、あとは太陽光パネルでは、太陽からの光では電力不足に陥り、衛星が充分に稼働しません。

 

従って、これらの探査衛星には太陽光パネルは搭載されていません。

 

実は、これらの衛星が太陽系の端らしいところに至っても、画像を送ってくることが可能なのは、『原子力電池』によるものなのです。

 

原子力電池とは、原子核崩壊(放射線を出し、他の種類の原子核に変化すること)の際に発生するエネルギーを利用して発電する電池を指します。その燃料となる放射性元素半減期の長いものを採用することで、数十年といった長寿命を実現できるというメリットがあります。

 

ボイジャー1号や2号」などの宇宙探査プロジェクトは数十年単位で探査機が無人稼働しなければならないという技術的な背景があり、長い年月の稼働を実現できる原子力電池が活用されているわけです。(草色部分は、「進路の見方」というサイトの記事の一部分を引用しています)

 

 

■ 日本でも可能になる「原子力電池

このような探査衛星に「原子力電池」を開発利用できるのは、今のところアメリカだけです。しかし、今日の引用の記事を見れば、日本の宇宙探査衛星に利用できるとういことがわかります。宇宙には強力な放射線が飛び交っており、これを克服できなければ「原子力電池」も短寿命に終わることになります。

 

日本が「原子力電池」にイオンエンジンを組み合わせれば、太陽系の端を周回できるようになるかも知れません。

 

 

放射線に負けない熱電発電の実現に向けて

—スピン熱電素子が重イオン線に高耐性を持つことを実証—

令和2年8月28日
国立研究開発法人日本原子力研究開発機

 

発表のポイント】

  • スピントロニクス技術に基づくスピン熱電素子と、熱源としての放射性同位体の組みあわせは、宇宙探査機用電源などへの次世代発電方式として期待できる。しかし、これまでにスピン熱電素子の放射線耐性を示すデータはなかった。
  • 加速器と放射光を用いた解析により、スピン熱電素子の放射線(高エネルギー重イオン線)に対する耐性を初めて明らかにした。
  • スピン熱電素子は、放射線同位体の崩壊熱を熱源とした場合にも数百年にわたり発電性能が劣化しないことが判明した。将来的に、使用済み核燃料等から生じる熱を安全に有効活用する技術の開発につながると期待できる。

 

熱を電気に変換する熱電素子は、自動車や工場等で発生する廃熱を回収し再利用するグリーン技術や、モノのインターネット(IoT)の電源となる環境発電技術の一環として重要視されています。また、熱電素子に放射性同位体を組み合わせた同位体電池は、宇宙探査機用電源として利用されており、放射線環境下でも負けずに動作する熱電素子の開発には大きな可能性が秘められています。

 

近年、電子スピンを利用したスピントロニクス技術に基づく「スピン熱電素子」が新たに開発され、設計自由度、低環境負荷、経済性の観点で既存技術を凌駕すると期待されています。さらに、このスピン熱電素子を同位体電池に組みあわせることができれば、次世代の発電方法の開発につながる大きな展望が開けますが、放射性同位体と共存する環境下でスピン熱電素子が性能をどの程度保つことができるか未確認でした。

 

そこで本研究では、スピン熱電素子が放射線に耐性を持つことを検証するため、実際に加速器で高エネルギー放射線である重イオン線を照射し、過酷環境での耐用年数の見積もりを行いました。その結果、仮に熱源として放射性の使用済み核燃料を使い、スピン熱電素子をその近傍に直に配置した場合を想定しても、数百年にわたって発電性能の劣化が生じない見込みであることが分かりました。

 

本研究は、エネルギー利用分野におけるスピントロニクス素子の重イオン線耐性を明らかにした初めての研究成果です。今後研究を積み重ねることで、将来的には使用済み核燃料などの放射線環境下での廃熱を回収し、安全かつ有効に活用する新技術への展開に貢献するものと期待されます。

 

(引用ここまで)続きは下記のサイトまで。色文字は強調のためにブログ筆者がつけたものです。原文を改変はありません

 

 

最後の色文字部分ですが、今は保管に問題視されている使用済み核燃料は放射線を出し続けることに問題があります。使用済み核燃料は、同時に放射熱も出します、これを利用できるようになるなら、朗報となります。ぜひ、一日も早くそれを聞きたいものですね。