聖護院 京極のブログ

天と地の間に新しいことなし(ことわざ)・・・人間の行動は今も昔も変わってはいない

鹿が車に当たる

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18種類もある動物注意の道路標識の一つ

 

昨年の夏の盛の頃、山里にある実家に帰ることがありました。生い茂った草刈りを行うためでした。これを放置をしておくと、手の付けられないほどに繁茂(はんも)しますので、嫌々ながら年中行事となっています。

 

草は、動力付きの草刈り機で行いますが、なかなかの重労働です。面積も広く斜面や石などもあり、注意をしていないと、刃を傷めたり、草に躓いて転んだりしてしまいます。弟も手伝ってくれますが、わたしの2.5倍の量をこなして大助かりです。

 

この草刈りに、陽が登って暑くなる前にと夜中の3時過ぎに今住んでいる自宅を出て、国道を65キロ以上も走り、あと到着まで4キロというところまで漕ぎ着けました。ここで冷たいお茶などを飲んで、一息入れ、また走り出しました。

 

時は、4時過ぎで辺りは、まだ朝ぼらけに入る前。山間(やまあい)の道は、まるで前が見渡せない程でもないものの、道端に例え誰かが屈んでいても、それが農具や堆肥なのか、はたまた、動物なのかは判然としません。

 

しかも、やや靄(もや)って、更に視界を落としていました。

 

 

■ 鹿が車に

その中の一本道を、私は前照灯を点けて軽快に通り抜けようとしていました。すると、視界の右端に何か黒っぽいものが動いたように思われました。

『うん?』

と不吉に思ったものの、車を停止も減速もしようともせず、わたしは通り過ぎようとしました。田舎育ちのわたしには、何かの動物かも知れないという思いが一瞬脳裏をかすめました。

 

その直後、鹿の顔が道路の端から右前方に突き出て来ました。

『あ!』

わたしは、一瞬、ハンドルを左に切りましたが、それはすでに事後のことでした。車長の半分辺りにドンという鈍い音がしたのです。

 

驚いて、車を停止して、窓を開けて振り返りますと、数頭の鹿がわたしの方を見ています。キョトンとしているようにも、放心しているようにも、あるいは何事もなかったかのようにそれは、置物の動物のように悄然と立っているではありませんか。

 

わたしは、車をおりてドンと感じた車体の辺りを見ようとしました。

すると鹿たちは、その時になってようやく我に帰ったように、山の中へと入っていきました。わたしの車は、若干の凹みが出来ました。

 

しかし、もう15年以上も乗っていて、あちこちに擦り傷や凹みがあります。それに新たなものが追加されてもどうということはありません。蛇足ながら、車は中古以外に乗ったことがありません。傷が付くのを気をつけなければならない新車は、性に合いませんから。

 

あの時の鹿はどうなったであろうかと時々思い返すことがありますが、鹿の頭付近は他の動物に比べても相当な硬さであることから、無傷であろうかと思っています。

 

 

■ 鹿と車の接触事故

鹿と車の接触事故は、年間2000件も発生しているそうです。それで車の修理が必要になる場合、平均51万円するそうで、もちろん鹿に賠償責任は問えそうにはありませんので、ガードレールや電柱に当たった場合と同様の物損事故扱いで保険が出るそうです。その金額がこれだそうです。

鹿からは、

『わしは、鹿だぞ、生き物だ。それなのに物損かい!』

との声も聞こえてきそうですが、鹿も注意してくれなければなりません。

 

 

■ そういえば猪に追突した人もいた

それで思い出すのは、わたしがまだ高校生であった頃に聞いた話です。わたしはこれから草刈りに向かおうとする実家に住んでいました。

 

村人の一人が、バイクで夜中にわたしが鹿と遭遇した辺りを走行中に、道の真ん中に黒い塊を発見したものの、避けることが出来ず追突したとう話が話題になったことがあります。黒い塊は猪で、追突した人は転倒して擦り傷を負い、猪は胡散臭そにノソリと草むらに入って行ったという事でした。

 

この話は、高校のクラスメートには、大受けだったことを覚えています。男子はもちろんのこと、普段は口も聞いたことが殆どない女子も大笑いでしたね。