日々の生活用品、特に食品の買い物となると、一家の主婦の主導権の元、髭を生やしたむつけき亭主が、金魚のフンのように付いて回る。
こういう構図がかなりの確率で見かけるスーパーの食品売り場での光景であります。
翻って我が家はどうだろうか。無論、先に書いたようなもので大きな違いはない。人から見れば、仲睦まじくて良さげだろうけれど、そうでもない。妻はどう思っているのかはわからない。
わたしがいても嫌そうでもないが、いなくても寂しそうでもない。ただ買い物を楽しんでいるのかも知れない。けれど、人ごみの中を付いて歩くのだけでも、わたしは疲れてしまう。
■ 車で待っている
買い物がすぐ済むと言うなら、大抵の場合、一度も降りることなくスーパーの駐車場に停めた自分の車で待っている。退屈にならないように、本や雑誌、府や市の発行のチラシなども持っていく。
妻が数品のみ買うのに「引っ付き虫」みたいにはなりたくないし、第一、面倒でもある。
『車で待っとるわー』
という時はそういう時である。しかし、数品で買う筈のところが一向に戻ってこないという場合も少なくない。持って来た本や雑誌にも飽き、チラシも裏表を右上から左下までの隅々まで見て、次にはスマホもいじる。それでも一向に戻ってこない。
■ 車に戻らない
「ははあ、本格的に買い物しとるなあ」
と思う。ここで、じっとしているのも難儀なので、様子を見に行ってもいいし、電話をかけても問題なかろうと思う。しかし、買い物を中断してしまわせると、妻はその日中、非常に機嫌が悪い。これまでの経験するところである。
■ どんな買い物をしている?
妻の買い物は、
「今夜はこんな献立で作ろう」
という、レシピは全くない。そのための買い物も余程の時以外はない。例えば、娘が
『今夜は鍋がいい』
とか、
わたしが『刺身で一杯やれたら言うことなし』
などの具体的なことを、そうした事例が、最近に殆どないという時のタイミングで言えば、まれに通ることがある。
しかし、買い物は基本的には、特売の物だけを買っている様子。買い物かごを覗いても、そこから今夜の献立を想像することは、全くの不可能です。
■ 買い物時間が長い
運転手として、あるいは、荷物運びの要員などで一緒に買い物するに付き合うことがあると、後から来た人は、わたしたちが未だ買い物半ば辺りであるのに、もうレジに並んでいる。
それを見るにつけ随分と彼女の買い物は長いなあ、と思う。
やっと、レジの近くまで来たので、いよいよお仕舞かと思っていると、ふっと姿が見えなくなって
「どこに行った?」
行方を追ってみると、いつも最初に見始める野菜売り場にいるではないですか、、、
双六(すごろく)ではないのだから、原点に戻るは本当にやめて欲しい、と言いたいのを我慢して、また、車に戻る。