独身時代が長かったせいか、今でもひとり言(ごと)の癖が抜けません。二十歳台前半から一人暮らしを二十年以上も続けてきたせいでしょうか。ただし、一人暮らしの人すべてが同じようになるのか、そうとも思えません。きっと、わたしの特異な習性かもしれない。
■ 一人住まい
一人暮らしが始まると、外出先から部屋に戻ると、そこは確かにわたしだけの世界でもあったけれど、快適さは微塵(みじん)もなかった。荒涼とした大地の中に立つひと間だけの家のよう。その寂しさは、それまで六人家族での暮らしから急に一人暮らしに移っては、耐え難い淋しさでした。
誰に話しかけている訳でもない、また、誰かに聞いてもらいたいと思って言うのでもない、ただ誰かの声が聴きたいという思いだけがありました。そしてそれが、わたしの口から出る自分の声だった、ということになるのでしょうか。
『あー疲れた。飯を食う前に風呂にはいるかあ。後の方がいいかな』
『うん、そうだな。そうしよう』
部屋に入ると、こんな風な言葉が口を衝いて出てしまいます。その声に無論、誰かが返してくれる訳でも、それをわたしが期待している訳でもない。ただ、そういっていないと、心もとないのです。
椅子の上に腰を掛ける時も
『よいしょと。やれやれ、ほんま今日は疲れたわなあ』
こうして、しばらくは何をするでも、考えるでもなく時が経つのに任せていました。
■ ひとり言は病気か(色付きは引用文)
ネットを見ていますと、こんな記事がありました。(引用:medical look)
「そもそも、ひとり言は病気なの?」
その質問に答える前に、そもそも独り言とは、どういうものなのでしょう?
一人で過ごしている時間が長くなると、だんだんと孤独感が起こり、考えごとをするようになります。
そのようなときに、無意識に考えを声に出してしまうことを独り言といいます。
独り言は、自分の声を聞くことで不安や寂しさなど心理的なストレスを解消し、心と身体のバランスを図ろうとする無意識な行動です。
また、独り言には、考えていることをまとめる働きもあります。
一人で黙々と仕事をするエンジニアなどに多く見られるのですが、彼らは考えていることを音にして整理し、納得して答えを見つけようとしているのです。こういった独り言は病気ではないので問題はありません。
(中略)
しかし、次のような症状が現れたときは、すみやかに受診してください。
・突然怒りだす
・一人なのに誰かと会話をしているような話し方をする
・急に笑い出す
■ 自動車の運転の時も
最近はどうでしょう。自動車を運転するときにも、ひとり言は出てしまいます。車は、結婚して初めて買ったのですが、それまでは、時折レンタカーを借ることがありました。レンタカーであっても、今のように家族を乗せた運転の時にも。
前を走る車に、
『曲がるなら、もっと左に寄せてからにせんかい!ほんま下手やな』
とか、
『危ないがな。急のブレーキ掛けられたら。そんななんもあらへんところで普通ブレーキ踏むか?』
などといった具合です。
たまりかねた娘が
『チョト、もっと静かに運転出来へんのかー?』
注意されても一向に治らない。上の色付き引用文を参照すると、わたしはちょっと危ない。