家族で車でドライブ中に動物の死骸を見つけました。どうやら車に撥ねられたらしいのです。それは、車の進行方向の道路の端に横たわっており、背中は見えていましたが、顔つきまでは、確認できません。
交通量の少ない片側一車線の比較的広い道路で、緩やかなカーブになっているところにあって、動物の視線からすれば、車の発見が遅れたのかも知れない。
死骸の少し先に車を止めることが出来る路肩が広いところがあり、それに気づいた娘が、
『止めてー。ちょっと見てくる』
『え、見てくるの?』
『どうしても見てくる』
と主張。そこに停車。
彼女は、恐る恐る死骸に近づいて、何度も顔を覗き込んでは、首をかしげて暫く思案していました。それから車の中から振り返っているわたしたちの方に向かって、顔を左右に振って、生きてはいないと告げました。
彼女は、死骸に顔の前で手を合わせてから、こんどは走って返って来て、
『多分、お父さんのお友達』
『え、友達、、、』
『ほら、タヌキ』
『こら!』
『でも、血もなく外傷もなかったし、死に顔は眠っているように、穏やかだったよ』
様子を聞きほっとしました。ただ、葬ってあげることも出来ないことを詫びて、その場を去るしかありませんでした。