「資格を取って置けば将来に役立つかも知れない。食いはぐれが無くなるから」
とよく言われたものです。
勉強途中で脱落したり、諦めたりしたものも含めると、実際に手を付けたその数は両手に余ります。資格を手に入れて、実際に約に立ったことは、生業関係以外には、結局ありませんでした。資格を持っているだけで食えるほど、世間は甘くはありませんから。
一時期は、資格を貸与して代価を得ることも可能でしたが、現在では実際に就労していなければ違法となるようになりました。名義貸しは駄目だということですね。どんな、資格であろうとも。
■ 試験日
試験日は遅れまいと、少なくとも1時間前には試験場に到着して、受験棟や部屋の確認をしたりしていました。知人や友人を見かけることもありましたが、雑念が入ると折角の記憶が剥げ落ちてしまう気がして、声を掛けないままやり過ごしたことが、殆どです。
指定の席について、一応持って来た参考書などを見ても今更ながら、どうにかなるはなしではありません。余計に迷いが出てしまう。記憶の良い人はいいなと思いながら、迫りくる開始時間を疎ましく待つしかありません。
■ 試験が終盤
息詰まるような時間がながれます。ため息がどこからか聞こえたり、消しゴムの摺る音、咳払いなどが聞こえたりしますと、誰しもが必死なのだとわかる。
それが終盤に来て、
『あと、残り15分です』
『受験番号、名前に記入漏れがないか、もう一度確認してください』
などと、係官。この時点で未回答が多数残しているなら、合格はほぼ絶望的です。
『間違っていてもいいから、解答欄はすべて埋めなさい』
とは、どの試験でも共通の教え。それで、一問が助かるかも知れませんから。しかし五者一択の問題でもまぐれ当たりは、滅多にありませんが。
■ 試験終わる
試験が終わり、解答用紙が引き上げられると、近くにいたわたしとは全く関係のないグループが、
『おい、3問目の答え何にした?』
『あれは難しかったな。おれは、4にした』
『あれは、4しかあり得んな』
『3はひっかけやろ』
『うん』
そばに居たわたしは、それを聞くともなしに聞き耳を立てておりました。
そして、
「オレ、たしか、3問目は1にした、、、」
と思う。
『なら、21問目の答えは?』
『あれは、5』
『よかった。おれも5にした』
そして、「ワシ、21問目は2にしたぞー、今回もあかんかなあ?』
てなことになる。そう思うと、また来年の試験に向けて、眠くなるのを堪(こら)えながら、一向に頭に入らない問題集に絶望している自分の姿が浮かんできます。
『ああ、やだやだ』
結果は、、、