聖護院 京極のブログ

天と地の間に新しいことなし(ことわざ)・・・人間の行動は今も昔も変わってはいない

惜別の歌

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画像出典:映画探偵室

 

「惜別の歌」は中央大の校歌の一つとしても有名。その作曲は、同校卒の藤江英輔とい人の手によるものではあります。太平洋戦争時の学徒動員の送別の歌であったようです。

 

後に、同名の映画にもなりました(冒頭の画像)、主演の小林旭氏の外にも、いろいろな歌手がこの歌を歌い、ヒットして一躍有名になりました。

 

■ 作詞は島崎藤村

作詞は、島崎藤村とどの歌詞にも書かれていますが、何も藤村がこの歌のために書き下ろしたわけではありません。藤村の「若菜集」という詩集の一節にこの藤江氏が曲を付けただけのことです。

 

■ 若菜集

若菜集のこの「高楼(たかどの)」には、別れて住まうこととなった、姉と妹への別れの歌となっていて、学徒出陣とも直接は関係ありません。別れの切なさという点を除けば。

 

■ 歌詞の中に

「惜別の歌」の歌詞の中には、

「君がさやけき目のいろも
 君くれないのくちびるも
 君がみどりの黒髪も
 またいつか見んこの別れ」

などは、確かに学徒出陣での歌に似合わない部分であります。

 

しかし、別れの歌としては、どの別れであったとしても、非常に心情に響くものがあります。それで、いろいろな歌手が歌って、広く有名になったのでしょう。わたしも、送別会でこの曲を歌ったことがあります。

 

■ 別れた人

わたしにも、若い時があり非常に好きだった女性との別れや学生時代の女同級生などを今更ながらに思いだすことがあります。その時、

『あの、可愛かったあの娘(こ)はどうしているかなあ。キラキラとして綺麗な目をしていたなあ』

と思うことが、この頃良くあります。

 

「惜別の歌」の中の歌詞に「君がさやけき目の色も」の「さやけき」は明るくて清々(すがすが)しいことを表していますが、恐らく、今はその眼の色も、黒目の周りが退色して白っぽくなり始めているであろうとは思います。

 

相当な歳になっているであろうから、その年の人としては逢いたくはないけれど、あの時代のままだったら、今すぐにでも逢いに行きたい。叶うことのない儚い夢だとは知りながら、移り来た月日を疎ましく感じるこの頃であります。