過日、主に食料品を買いに、そこそこの大型スーパーマーケットに家族で出かけました。こういうところでは、わたしはもっぱらなかなか切れない金魚のフンのように付いて回るしかありません。あるいは、車で待つかです。
■ その日
その日は、ついて回りました。停めた車の薄暗い地下駐車場でしたし、何か陰気な感じが嫌でしたので。
色々な買い物客とすれ違いました。また、行った売り場のところで再会も何度となくありました。
その途中で、自分のシャツの襟に違和感を感じて触りますと、どうやら一番上のボタンが、一つ下のボタン穴に掛かっているようです。これが本当の意味でのいわゆる「ボタンの掛け違い」というものです。
まあ、そこまでに至るまでに気が付かなかった自分を心の中で叱責しました。が、人は自分のやったことはどんなことでも許せるので、直ぐに気を取り直し、家族の後ろについて歩きながら、ボタンを掛け直しました。
■ 家に帰って
家に帰って、この事実を家族に告げますと、
『そのボタン、三つ目からまたズレている』
との指摘が出てびっくり。全部直し切れなかったようです。歳は取りたくないものですね。どこかの鏡を見てちゃんと直せばよかったのに、ズボラがいい歳に重なってこのような結果になったのでしょう。
■ 娘の「最後の一句」
娘はわたしが落ち込むのを支える積もりであったのでしょう、
『お父さん、どんまい。誰もお父さんをそれ程見取らんから心配ない』
『まあな』
とわたしは返しましたが、それはそれで情けない。