聖護院 京極のブログ

天と地の間に新しいことなし(ことわざ)・・・人間の行動は今も昔も変わってはいない

アルバイト店員の「わるふざけ動画」

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画像出典:日本経済新聞

 

アルバイト店員の店での悪ふざけ動画は昨年の暮れから今年の二月までの間に、確認されているものだけでも、全国で6件が挙げられています。

 

悪ふざけ動画と言うのは、飲食店やコンビニ店のアルバイトが食材などで悪ふざけをする動画を交流サイト(SNS)に投稿するというものです。新聞は、彼らの行為が刑事事件に発展するとして弁護士の言葉を引用して警告を記事として載せたりしています。

 

一向になくならないこの手の記事ですが、本質的には一体何が原因かは、新聞社の記事でも、弁護士でも発信しません。

 

■ 企業の姿勢が問題

このような悪ふざけが出る理由は、企業が正規雇用の社員ではなく、アルバイトを雇って、しかも正社員同様の仕事をさせようとする企業姿勢に起因しています。勿論、アルバイトの人が皆、悪ふざけをする訳ではありませんし、正規雇用の人なら全くしないとも言えません。

 

ただ、日本の雇用システムは、1990年代からデフレ経済に入った頃から、正社員を出来るだけ雇用しないスタイルに変化してきました。それは、少しでも他社より売り上げを伸ばし、利益を確保したいからでした。

 

今のようなデフレ期では、例えをあげれば、物の値段が上がりません。それは、日本の大多数の働き手であるサラリーマンの給料が上がらないことにつながり、誰も高いものを買わないからです。少しでも安いところを選んで購入します。

 

そうなると、商品とその販売にコストの削減が必要となり、コンビニ、牛丼、回り寿司、酒類の飲食店などでは、労働コストの安いアルバイトへと店員シフトが進むのは、当然です。つまり、デフレがグルグルと日本中で循環して、悪化するばかりです。

 

■ アルバイト

アルバイトの人も、自分たちの給与や福利厚生が社員より安いことを知っています。従って、働いている職場に忠誠心や愛着が湧くことは少ないでしょう。安いアルバイト代の職場であれば、働く人の入れ替わりも頻繁となるの当然です。

結局、企業もコスト削減を目指すばかりにギリギリまで給与を抑える訳です。そりゃあ、働く人も中には、こんな給料でやってられないと思って、悪ふざけをしてしまうことに及ぶとし得ても、おかしくありません。

 

恐らく、ここの事案は、SNSに投稿されて発覚に及んだものだけですから、そういう目的でなくて同じような悪ふざけや腹立ちまぎれに似たような行為をしている人は、決して多くは無いものの一定数の率はあると思います。

 

■ 企業がアルバイトを提訴

確かに、悪ふざけをして動画をアップした人たちは、許されることではありません。しかし、企業も自分たちの利益の最大化のために、人の労力を安く抑えようと考えて、アルバイトを雇っているわけですから、そこにリスクを考え、対策を行うような行動が無ければなりません。

 

アルバイトを、刑事事件としていくら提訴しても決してなくなりはしません。企業の利益主義が、そのような事態を招く土壌を持っているのですから。

 

■ 企業にすれば

企業にすれば、デフレだからそこで利益を出すには、人件費を削るしかないと言うでしょう。しかし、デフレ下だからそうするしかないとしないで、もっと積極的に違う行動も同時にとって欲しい。

 

即ち、デフレの脱却を政府に訴えて行くのです。

 

デフレを脱却できる方向に持って行けるのは、国民や企業ではありません。政府がデフレ対策のための政策を次々と打ち出すことです。

・金融緩和 企業や起業する人がお金を借りやすくする。

財政出動 公共事業への巨額の投資で仕事を作り、雇用や企業投資を促す。

・減税   国民の購買意欲を拡大を進める。

 

この三つを同時にしかも大々的に行う必要がありますが、これまで実現出来た内閣はありません。どれかはたしかにやったのですが。

 

新型コロナの終息に伴い国民の消費意欲が高まる時に、財政投資と減税を行うことは、是非ともやって欲しいし、企業も苦しいサラリーマンの給料をピンハネするようなことをせず、政府にこの三つをもって、詰め寄って欲しいのです。

 

そうでなければ、悪ふざけはなくならず、企業価値を自らが貶めて行くだけです。やるべきことは、アルバイトの人の姿勢ではなく、政府に経済発展への上の三つを求めるべきです。

 

恐らく、デフレを脱却できる最後のチャンスとなるでしょう。