わたし達の中学生の頃は、剣豪宮本武蔵の事を
「宮本むさくるしい」
といい、
「佐々木こじき」
と揶揄しておりました。何気なしにではありますが。他にもこれも剣豪の荒木又右エ門は「荒木またずれ」などと。それで、またそれが仲間受けがよかった。本当におこがましい揶揄であったと思います。
■ 宮本むさくるしい
宮本むさくるしいこと宮本武蔵は生涯に60回以上も戦いをして、一度も負けたことがないと言われています。彼は、勝つためにはあらゆるものを利用し、手段を選ばなかったといいます。
それゆえ
「卑怯者」
と罵られてきました。確かに彼は剣士としては落第であったのかも知れませんが、自分が乱世に生き抜くためにの兵法家としての成果としてはずば抜けて優れています。
乱世の時代には、どんな手段でも用いなくては叶わなかったからでしょう。武蔵には強力な援護者も莫大な財産があった訳ではないのですから。
彼は剣士ではなくすぐれた兵法家であったと言えます。誰かの元で、いくさの指揮を執らせたら連戦連勝したことでしょう。
あの時代の個人であれば、誰からそしりを受けようとも頼れるのは己のみであり、生きるためにはあらゆる手段を用いるのも致し方ありません。おめおめとは死にたくないのなら。
それは、今の世のように、民主主義の時代でも平和な時代でもなかったのであれば、たとえわたしがその時代に生きていても同じ事をして生き抜こうと試みたでありましょう。
まさに、
「卑怯者ではない。己(おまえ)が未熟なだけだ」
となるのでしょう。
今の時代でも、どんな手段であっても勝ちさえすればよいというのは忌み嫌われるでしょうが、しかし、武蔵のこの考え方はわたしは嫌いではない。