テレビを見ていますと、役所の職員や学校の教師あるいは有名企業の役職の人達が、
「ご迷惑とご心配をお掛けしまして、誠に申し訳ございません」
などと、頭を下げる場面に、遭遇することがあります。
それは、どの時の場合も殆ど同じで、長机に最低でも2人以上が腰掛け、神妙な面持ちで座り、司会者らしき人が傍らに立っている光景です。
その司会者は、
『それでは記者会見を始めさせて頂きます。わたしは司会の○〇です。まず、本日の会見に臨みまして、当該責任者の○〇よりご挨拶いたします』
などと、司会者の気楽な立場をいかんなく満足して、居並んでこれから謝ろうとする面々を、僅かではあるが、憐れみと優越感を持って紹介します。
■ 責任者
責任者は、待ち受けている多くの報道陣に気後れして、目もうつろながら、
『この度は、国民の皆様や関係者の皆様に、、、』
と切り出し、最後に
『まことに、、、』
で、これから陳謝しようとする他の連れの面々が立ち上がるのを待って、
『申し訳ございません』
と頭を下げる。その下げている時間は、どのように決定しているのかなと見ていて思ったりする。例えば、10をゆっくり数える間に決めているのであるかも知れない。10の場合は、
「じゅう」の「じ」となったところで頭を上げるのか、それとも「じゅう」の「う」を言いきってなのかなどと。
もし、わたしなら、もう少し長くした方が心象が良いかも知れない。
など思いながら犯罪者を見るような目で見ている。
■ 謝る理由
彼らは、心の中では、
『発注先の人間のチョンボなのに、何で謝らないかんのかいな』
と思っているでありましょう。年金の宛名間違いや、銀行のシステムトラブルなど、最近の役所や企業、教師などは、殆ど自分たちで何かを作ってそれを現場で使うというようなことはしません。
何何を今度企画する。そうすると大抵が、業者を呼びよせて
『こんな企画にふさわしい。アイデアを考えて来て』
と外注します。すると、業者が
『毎度おおきに』
と、もみ手なるのです。その業者が、あらぬことか差別や間違いをすると、発注者の面々は、
『ほな、阿保らしいけどまずは、謝っておこうか』
てな具合なのです。そして、謝った後は、業者を呼んで
『あかんがな。あんな企画では。恥かいたわ。しっかりしてや。今度同じようなことになったら、発注先を替えるぜー』
てな苦情を言って、それで自分たちの反省は殆どあり得ません。
業者の方も
『この度の事は、まことに申し訳ありません』
と平身低頭ふうに振舞うが、心の中では
『あんたらがちゃんとチェックせんからあかんのやろが?なんでも業者任せがいかんのや』と心でつぶやいたことでありましょう。
よって、再発は大抵起き、又謝るというパターンであります。