読者の中に賃貸マンションの又は、自ら購入した分譲マンションに居住している方はいるでしょうか?これらに該当される方は、知っておいた方が良い事柄があります。
またもし、これから賃貸又は、購入予定があるなら、少し考えた方が良いと思います。それは次に上げる二つの事柄が理由です。
① 管理費の値上げ
② 修繕積立費の増額
この二点は、賃貸としてマンションを借りた人やローンを組んでマンションを買った人にとって、借りた時や購入時には想定していなかった出費増となるのです。これを知ったのはわたしは5年くらい前の事でした。
■ ①-1 管理費が高騰の原因(人材不足)
マンションの管理人の成り手と言えば昔は、定年退職をした人でした。60歳で定年を迎えた人が、管理人としての成り手となり得たのです。
ところが、
2013年60歳定年は65歳まで延長されるようになった。(高年齢者雇用安定法」)
2021年65歳定年は70歳まで延長されることになった。(改正「高年齢者雇用安定法」)
上記のように定年が延長されるようになってから、マンションの管理人の成り手が減少して来ています。しかし、マンションの建設は少しも減少しておりません。着実に増え続けています。民間リサーチ会社の調べでは、全国平均で毎年12-15%の伸びがあり、大都市圏では20%にも上ると言われています。
■ ①-2 管理費が高騰の原因(人件費の値上げ)
上に上げた通り定年が2013年に60歳から65歳に延長された翌年から管理費も上昇してきました。東京圏の場合で下記のようになっています。(月額)
2014年管理費:15,000円(人件費:888円)
2019年管理費:19,000円(人件費:1,040円)
マンションの管理費は2014年と2019年とでは月4,000円もの増加となっています。
恐らく、今後に於いても人材不足は解消されず、更なる上昇は確かでしょう。勿論、ある一定水準まで人件費が高騰して、人材の方が割安になる。つまり他の業種より管理人としての職業に魅力が出れば、そこが落ち着きどころでしょう。しかし、そのような事がいつ来るのかは分かりません。
■ ①-3 管理費が高騰の原因(管理人の低賃金)
また、マンションの管理人としての給与も他の業種と比較して決して高くはありません。それに、仕事も多岐にわたりますし、苦情も受ければ時間外に働くこともあります。
年収にして160万から350万円で最大の350万辺りはでは、管理人としての経験年数が何十年とある人や住み込みとなりますが、定年後であれば最低限度額に近くなります。
その上、従来のようなアナログ的な管理から、パソコンスキルもそれなりに無いと勤まらないようなデジタル的な管理方法に代わって来ています。パソコンなどに疎いと幾ら管理人候補であっても勤まらないとも言われています。
即ち、人材難が管理費の高騰の一番の理由です。
これまで、管理費が安すぎたと言っても良かったのです。
しかし、現在においても新築販売されるマンションの価格には管理費の高騰を織り込んでいません。つまり、販売し易くするために、あるいは販売利益を最大化するために、管理費の値上げを意図的に数年ずらしているのです。
そうすることによって、販売が終了して、数年の後に管理費の値上げが行われることとなっても、販売者は不利益にならないようにしているのです。
■ ②大規模修繕費の値上げ
マンションに住んでいますと、十数年に一度は大規模修繕を行うのが一般的です。
それは、
1) マンションの価値を落とさない
2) マンションのインフラを保持、修繕、または更新の必要がある
のが目的です。これは、月々にマンションの管理組合から持ち主の口座から天引きされます。買った時の管理規約に定められていますので、拒否出来ません。
また、この積立金は、マンションを売っても戻ってきません。次に買った人が売った人の分を引き継ぐこととなります。
■ ②-1)のマンションの価値を落とさない
マンションに限らず、すべての建物は年々老朽化していきます。外壁は汚れ、鉄部はさびてきます。ローカの床の傷やエレベーターの老朽化などあらゆるものが痛んできます。それは、地震や夏の灼熱、冬の極寒、雨や雪の日もあります。痛んでいくのは当然です。
マンションはそれ故、何年かに一度は内外部の補修を行い、インフラは随時更新していかなければ、建物の価値は年々損なわれてくることになります。高いローンを組んで購入したものが十数年で半値以下とか三割程度に落ちることは、誰も望むところではありません。
従ってまずは、外壁を洗ったり補修や吹き付け直しをして、見てくれを維持する必要があります。
これらの事を「長期修繕計画」として、マンション購入者は毎月支払うことになります。しかし、元々十年に一度そのような計画の元に外壁を綺麗にする工事を行うにしても、積み立てて来た額では十分ではなく、その金額で修繕を行おうとすると、計画の全部が行えないか、行っても念入りさを求められない程度になるしかありません。
それは、結局将来に付けを回すことになり、建物の保全に悪影響を残すだけです。このため、月々に支払うべき積立金は増加せざるを得ません。
以上に述べてきた通り、管理費と建物修繕費への支払いは、確実に増加が見込まれます。ローンを組んでマンションを買った人は、この両方が増えますし、マンションの賃貸入居の人でも管理費は確実に増加します。
マンションの賃貸に入居の人は建物の修繕費は本来支払う必要はありませんが、それを管理費にある程度乗せて請求される可能性もあります。
これからマンションに賃貸入居、あるいは購入を考えている人は、再考されても良いかと思います。ただし、給与が今後順調に伸びる人はこの限りではありません。