過日、車を運転していますと、足元から不快な匂いが立ち上がってくるのを感じました。何か、食べ物が腐った時の様な「饐(す)えたた匂い」でした。強烈と言うほどではなく、かすかに漂って来て、途切れることがありません。
同乗の妻にも匂いを確認してみました。妻は、鼻が人一倍敏感で、まるで犬の様な鋭さです。わたしが匂う位だから、妻も感じている筈であると思ったのです。
『何か臭くない?』
というわたしの問いに
『臭いけど、それはこの車に染みついている匂いの気がする』
と答えて、確認するように犬の様にクンクンと鼻を鳴らしました。
この後、我慢できない程でもなかったので、目的地に到着するまで、車を停めてまで原因の特定はしませんでした。
■ 目的地にて
目的地に到着して妻は買い物に店内に、わたしは匂いの元を確かめようと車を降りて、運転席辺りを入念に調査しました。しかし、その時には確かに車に染みついたであろう匂いはしたものの、運転中のあの不快な饐(す)えた匂いはしません。車の運転席のドアを全開にしたことで、籠っていた匂いが霧散したのでしょうか。
しかし、たとえそうであっても、不快な匂いにの元があれば、かすかにでも匂う筈です。それが、まるでしないのです。足の裏に何かが付いていなかも確認してもそれはありません。
■ 帰り道
買い物を終えて妻が車に戻ってきました。わたしは、妻の買い物中のわたしの行った顛末を説明しました。
『と、いう訳で、原因は分からん。犬のうんこも無かった』
どうして、犬のうんこという言葉が出たかは自分でも不明です。
『ふーん』
と、妻は言った切で、さして興味はないようです。
しかしやっぱり帰り道においても、あの不快な匂いは仄かに漂ってきます。
この往復時には二人共に匂いの出どころの特定には至りませんでした。
■ 原因特定
しかし、家に帰ってパソコンに向かう時に判明しました。原因が特定できたのです。わたしは、パソコンをする時は大抵あの小さな椅子の上で胡坐(あぐら)をかいています。足が楽ですし寒い時には足の裏の保温も兼ねることが出来るからです。
そして、今回も。
そうしてあの不快な匂いは、わたしの足の裏から来ていました!
えも言われぬ強烈で、悲しいほどのえぐさ。その匂いが、わたし自身から発するという、何というかサディスティックにいい匂いとも思えることもあります。お前は変態かと聞かれそうですが。
それには、今回はさすがにわたしも自分の馬鹿さ加減と落胆から、妻には言えませんでした。
だからといって、靴下を何日も同じものを履いていた訳ではありません。毎日履き替えていました。足も洗っていました。ただしいい加減に。
が、
クレヨンしんちゃんのパパのヒロシの様に風呂に毎日入り、靴下を履き替えても一日の終わる頃には、このように不快な匂いを発するのです。夏の日でも、冬の暖房の効いた部屋にいる時も、まことにヒロシに負けないくらい足の裏が臭くなる。
もし何なら、匂い消しのスプレーを足の裏に直接かけたいくらいです。わたしの足の裏の匂いが異様に臭いのは今に始まったことではありません。それで何度か悲しいというか恥ずかしい思いは何度もしてきましたので。それは、また別の機会に。
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わたしは、風呂場に入って、匂いが足の裏に鼻を接近させないと匂わないところまで入念に洗いました。わたしの行動を見て妻が、不快な匂いがわたしの足の裏にあると、きっと気が付いたと思いますが、何も言いませんでした。