聖護院 京極のブログ

天と地の間に新しいことなし(ことわざ)・・・人間の行動は今も昔も変わってはいない

人工肛門におもう

 

画像出典:産経ニュース


わたしの義理の姉が入院したという知らせを受けて、見舞いに伺ったのは、今から4-5年ほど前の事であったとおぼろ気に記憶しています。

 

入院した姉は、膝関節が炎症を起こしており、歩行もままならないから、手術を受けるということで検査入院をしたものでした。

 

病室は、中廊下の左右に四人部屋が、いくつも並んだ一つに、義理の姉は居ました。余り見舞い人が来ないせいか、話好きの姉は一緒に行った妻と40分を超える長話をして、わたしは手持無沙汰に聞くともなしに二人の会話を聞いていました。

 

話も終盤の頃になって、どこからともなく何とも耐え難いほどの厭な匂いが漂ってきました。その匂いは、例えれば腸を壊した人のオナラをお尻から直接嗅いだような塩梅で、顔をゆがめて、口を押えたわたしを見て、義理の姉は、

『並びの部屋に人工肛門を付けている人がいるらしいのよ』

と、声を潜めて言って、さらに

人工肛門を取り換える時に、このにおいは起きるそうよ』

と付け加えました。

 

叔母は、日に少なくとも一度はあるらしい、このにおいに慣れたのか平然としています。一体人工肛門がどうしてこのように匂うのか不思議には思ったものの、それ以上の詳細を聞く気にもならず、その話題は腰折れとなりました。

わたし達は匂いを発端を、これを幸いにと病院を後にし外に出て、新鮮な空気を吸うともう先ほどの耐え難い匂いはケロリと忘れて、人工肛門の話もそれ以上に知ることもありませんでした。

 

■ 芸能界では

しかし、その後、ネットで何気なく見た記事では、芸能界には有名な俳優や女優、フリーアナウンサーなども装着しているなどの告白もあり、次第に人工肛門はわたしだけでなく世間一般に注目を浴びるようになりました。

 

なかなか大変な思いで生活をされているようです。

同情よりそういう生活になっても、明るく(外見だけかも知れないが)元気に生きておられるのを見ますと立派だなと思う。

 

しかし、人工肛門という事実は認識していても、殆どの人が見たことは無いでしょう。

そして、それを尚更に見たいとも思わない事でしょう。

『何か大変そうだ』

とか

『辛いだろうな』

と互いが思いはしても、そういう立場に至らなかった自分にホッとするだけです。

 

■ 人工肛門

人工肛門(赤色部分)と排便用パックは、冒頭の画像の様なものです。大腸を実際の肛門を利用せず小腸又は大腸を本人の左下腹部に終端として、体の外に引っ張り出したものです。実際の腸が皮膚に出ていますので、誰であっても赤い色をしています。これは口の中の皮膚が赤いのと同様です。

 

従って、体表の皮膚に引っ張り出された腸は乾燥したり痛みを感じたりはしないようです。ただ、便意を感じることがないので常に冒頭の画像の様なパックをぶら下げた生活となります。このパックを週に3-4度交換する必要があります。

 

パックは人の肌に密着するようになっており、普段の生活では匂いや汚れがもれる心配はないようです。皮膚に密着しているのでかぶれ対策は必要です。

パックの取り外しは、風呂で行います。色々な細かなノウハウはあるのですが、専門サイトではないので割愛します。

更に知りたい方は、リンクを張っておきますので参考にしてください。

https://www.jfcr.or.jp/hospital/conference/total_care/woc/artificial_anus.html

 

わたしが義理の姉の見舞いに行った時の匂いは、体の自由が利かない人であったのでしょう。病床での交換するしかなかった、と思われます。

 

ネット記事で見たフリーアナウンサーの女性は、

『いつも匂いが漏れて人を不快にさせていないか、そればかりが心配だった』

と書いていました。どういう病気でも、それはそれで辛いものですがこのような病気は、人を気にしなくてはならないので、辛さは計り知れませんね。

 

「明日は我が身と思わば今日は大安吉日」でしょうか。