よく目にしたり使ったりする「対岸の火事」と「他山の石」と言う慣用句。よく似ている感じだと使い方を間違ったりしますので、恥をかかないようにしたいものです。
そのうち「対岸の火事」は殆どの人が言葉の使用場面を間違わない。言葉の意味は、
こちらの岸まで燃え移るおそれがない川向こうの火事。当事者にとっては苦痛や災難であっても、こちらには関係なく少しも痛痒を感じない物事のたとえ。(ことばバンク)
となります。早く言えば「対岸の火事」は
『あっちの出来事は知ったことではない』
と言う事であります。
一方「他山の石」
「他山の石」は『詩経-小雅・鶴鳴』の「他山の石、以て玉を攻むべし」から来ており、
よその山から出た粗悪な石でも、それを砥石に利用すれば自分の玉を磨くのに役立つという意味で、他人の誤りを自分の修養の役に立てることをいう。
となります。
早く言えば「他山の石」は
『人の振り(誤りを)見て、我が身を直せ』
にかなり近い類語と言う事であります。
「他山の石としない」は従って誤りとなるのです。この誤りは、「対岸の火事」を類推し、混同して誤用しています。正しくは「他山の石とする」が正しいのです。
まあ、誤用はよく見かけますね。