画像出典:河北新報
卒業式には必ず歌われる「蛍の光」は、スコットランド民謡の替え歌であることは、今でこそ広く知られるところです。しかし、石原慎太郎氏のエッセイなどを見ますと、氏の若い頃には、「蛍の光」は日本の歌だと氏が主張して論戦をしたというような事が書かれています。
■ 蛍の光
現在歌われる「蛍の光」は1から4番までの内の2番までです。これは、3と4番が軍国主義的歌詞となっているのを嫌ったものであろうかと思います。ここの因みとして3と4番をあげて見ます
3
筑紫(つくし)の極み 陸(みち)の奥
海山遠く 隔(へだ)つとも
その真心は 隔て無く
一つに尽くせ 国の為
4
千島(ちしま)の奥も 沖繩も
八洲(やしま)の内の 護(まも)りなり
至らん国に 勲(いさお)しく
努めよ我が兄(せ) 恙(つつが)無く
となります。今回わたしが取り上げたのは、何故、3と4番を歌わないのかという糾弾をしようという訳ではありません。確かに今の日本社会には似つかわしくない歌詞であるかも知れませんが、歌われないのは残念でもありますが、それは今回取り上げません。
■ 取り上げたいのは
4番の歌詞にの最後のフレーズに
「・・・恙(つつが)なく」(筆者色付きとした部分)
となっている部分です。この恙(つつが)なくとは今風に言い換えれば、
「平穏無事であれ」
ということになります。
この恙ないという言葉には、
『ツツガムシの被害に合って、苦しまないで』
という昔の挨拶言葉としても使われているという事になります。
無論、この主張には異論もあります。恙ないの恙(つつ)は病気を表す言葉で、ツツガムシとは関係ないという訳です。しかし、辞書で「恙」を引きますと、ツツガムシの事という風にも記載があり、語源はツツガムシから来ていると思われる。
それは、「ツツガムシ」という虫にかまれるとひどい目に合うことから、昔から(古い時代から)、「恙(つつが)なしや?」という今でいう「風邪などひいていませんか?」位の挨拶語となったのであります。勿論、風邪よりはもっとツツガムシにかまれれると深刻な事態になりますが。
■ ツツガムシ病
さて、長々しい前書きからようやく本題に入ります。
最近の日本に於いて、ツツガムシに噛まれる事例が多発しているとのことです。下記の記事は河北新報のウェブサイトの引用(色付き文字と画像)になります。
かさぶたのような刺し口 「つつが虫病」今も死者
ツツガムシに刺された傷口(青森県保健衛生課提供)
感染症「つつが虫病」の患者が5月上旬、宮城県で確認された。つつが虫病はかつて北日本の日本海側で見られる風土病だったが、今は北海道、沖縄を除く全国で発生。年間300~500人が発症し、数人が亡くなっている。
山形県衛生研究所によると、つつが虫病は病原体(リケッチア)を持つツツガムシの幼虫に刺されることで発症する。ツツガムシは体長0・2~0・5ミリで、山林や原野、河川敷などに生息する。
刺されるのは、衣服で隠れた皮膚の柔らかい部分が多い。5~14日程度の潜伏期間を経て38~40度の高熱、全身の倦怠(けんたい)感、頭痛など風邪のような症状が現れる。
発熱から2~5日後には、全身に粟(あわ)粒ほどの赤い発疹が広がり、刺された部分に近いリンパ節が腫れる。刺し口には1センチほどのかさぶたができる。
抗生物質が効き、早期に治療すれば完全に回復するが、治療が遅れると死に至ることがある。有効なワクチンは開発されていない。
ということです。最近では、わたしは軽装で釣りをしていてマダニに噛まれて、往生しましたが、マダニよりツツガムシに噛まれる方が、症状は深刻です。お気お付けを。