鶯(うぐいす)は春を告げる鳥として、短歌、俳句、歳時記などに必ずと言っていいほどに出てきます。従って「春告げ鳥」とも呼ばれており、梅の花に鶯はよく似合うのは確かですね。
鶯の「ホーホケキョ」の美声は聴く者にとって気持ちをやすらげさせてくれます。同時に長かった冬の終わりを待ち望んでいただけに、感嘆することもあります。野球場の「鶯娘(うぐいすじょう)」もここからきているのでしょう。鳴き声が「法法華経」「宝法華経」などと表記さることもありました。
鶯は、スズメほどの大きさで、色は鶯色(うぐいすいろ)で保護色なので目立ちません。子育ては、雌雄交代で行います。
しかし、鶯は、春にしか鳴かない鳥と言う訳ではありません。年中鳴いているのですが、春から初夏程には鳴かないだけです。
夏場でも、茂みが深い山に入れば、
「ホーホケキョ」を聞くことが出来ます。
ある時それを聞いた友人が
『今、鶯が鳴いた。あいつらボケてんのか?』
と言いました。
『そうではない。鶯は年中鳴いているけど、春先から初夏以外では身近に居てもあまり鳴かないだけなんだそうだ。夏や秋冬にでも鳴く。回数が少ないだけ』
とわたしがいい、友人も、
『そうだな』
と簡単にわたしの言葉に同意して、自分の迂闊さににケラケラと笑いました。
オスは、初夏頃が繁殖期で一日に1,000回くらい鳴くのそうです。誰かが数えたのでしょうか。暇な人もいるから、あるいは数えたのかもしれない。が、同じ鶯が鳴いたのかは確かめようもないだろうにと、ひねくれたりします。
繁殖に入る春先から初夏には相手探しと繁殖活動が始まっており、しきりに鳴きかわすのが人の耳に届きやすいのはそのためでしょう。