聖護院 京極のブログ

天と地の間に新しいことなし(ことわざ)・・・人間の行動は今も昔も変わってはいない

消毒液が出回らない理由

 

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画像出典:FNNプライムオンライン

消毒液代わり ウォッカなども認める 全国の医療機関などに通知

2020/04/14(火) 1:18配信

 

不足する消毒液の代わりにウォッカを。
厚生労働省が異例の通知を出した。

新型コロナウイルスの感染拡大にともない、アルコール消毒液の供給が不足しているため、厚労省は、やむを得ない場合に限り、アルコール度数の高い酒を代わりに使うことを「特例」として認める通知を、全国の医療機関などに出した。

対象となるのは、成分にメタノールを含まない、アルコール度数が70%から83%の範囲の酒で、ウォッカなどが該当する。

また、さらに度数が高い酒については、消毒効果が十分に得られるよう、精製水などで薄めて使うこととされている。

(引用ここまで。全文引用)

 

このニュースを見て、またしても、ウォッカを買う人が続出して、品切れなどということがあるかも知れません。この処置は、医療機関などへの通知ですから、早とちりしないで欲しいものです。

 

ウォッカは、一時期飲んだことがあります。無色透明で、少し焼酎のような癖のある臭いがします。これを、原産国であるロシアの人は、ストレートで飲むのが一般的の様ですが、喉が焼けるような強烈な酒です。

 

これなら、確かに消毒に利用も可能でしょう。何しろ、消毒液はアルコールを利用しているのですから。

 

では、なぜこれほどまで消毒液が不足しているのに、市場に出回らないのか?という疑問を多くの人が持ちます。不足が叫ばれてから2ヵ月を超えて来ましたが、一向に解消されそうにありません。メーカーはどうしてるんだ!

 

 

■ メーカーはなぜ増産をしないのか?

なぜ、メーカーは増産しないのか、という疑問を持ちます。メーカーは増産するためには、フル生産以外では、設備の拡充をしなければなりません。しかし、新コロナウィルスがこれほどまでに拡大しない平時の日本にあっては、ほとんどアルコール消毒などの需要はありませんでした。

 

スーパーの入り口に、今と同じようにインフルエンザ流行期には消毒液が置かれていました。しかし、それを利用している人を見たことがありませんでした。今はどうでしょう、ほとんどの人が利用しています。見当たらなければ探したり、店員に尋ねたりするほどです。

 

つまり、平時ではそれ程需要は無かったのです。従って、店頭からなくならない程度に生産をしており、その程度の設備しか用意していません。

 

そこへ、今回の新コロナウィルスの流行です。急に需要が拡大しても、対応できるだけの設備がありません。既存の設備をフル回転させても、到底需要に応えることは出来ません。

 

かといって、生産設備を拡充するのもためらわれます。アルコール消毒液を生産している企業は一社だけではありません。それらの会社がフル生産してたり、一部の企業が設備を拡充して増産を行う可能性もあります。

 

今の日本企業は、すべての分野において、需要の低迷によるデフレギャップに苦しんでいます。デフレギャップとは企業がフル生産した場合における実際の需要との差です。つまり、需要が供給よりずっと少ないのです。出来るなら、設備を縮小したいほどなのです。

 

従って、すべての生産は、入用生産です。急激な増産を前提にしていません。工場の内部の空きにもほとんど余裕を持たせていません。

 

仮に、増産のための設備を拡充したして、新コロナウィルスの流行が収束した場合、需要が急速に落ち込むことは、想像に難くありません。その場合、増設した設備は企業にとって大きな負担となります。その時、消費者は何かの助けをしてくれるでしょうか?

 

そんな筈はありません。「それは、商売だろう」といわれるのが落ちです。ここは、多少の生産設備の既存部分に増設するくらいの対応で、終わらせたいのです。これが、アルコール消毒液が未だに市中に出回ってこない理由です。

 

そして、マスクや他の品切れが続く商品においても事情は同様です。