画像出典:AD倶楽部 右端の新コロナウィスルの欄のみ筆者が加筆しました
上の表を見ていただければ、細菌、真菌、ウィルスに対してどの薬剤が有効かが示されています。同時に、新型コロナウィスルに有効であっても、他のウィルスや細菌、真菌には通用しないことが一目で解ると思います。ただし、まったく通用しないというわけではなく、使用後の放置が長ければ効果は及ぶとされています。
この表を見れば、新コロナウィルスは、他の薬剤では通用しないものでも、有効だとされていて、なんだか「ゆるゆる」感があります。
しかし、これらの薬剤が、新コロナウィルスの世界的な感染で注目されて来たため、いろいろな臨床が行われた結果であり、あるいは表中の他のウィルス等に有効かもしれません。また、新コロナウィルスにどの程度に有効なのかは、明確ではありません。つまり、単なる除菌なのか、殺菌なのか等についてです。
■ 新コロナウィルスに有効とは?
市販されている新コロナウィルスに対する手消毒などの薬剤にも種類が多く、どの程度に有効なのかは、一般人には周知されていないと思われます。
例えば、除菌なのか、殺菌なのかの用語の使い分けですら、理解されていません。テレビなどのメディアにも時々違いを解説するものもありますが、
『へえー』
位のその場限りで終わってしまいます。
そこで、甚だ簡単ではありますが、用語の解説やそれぞれの違いについて調べてみました。
■ 除菌、殺菌、滅菌、抗菌、消毒
まず、用語を理解しましょう。
① 殺菌(さっきん)
殺菌とは「細菌やウイルスを殺す」効果のことです。
ただし、死滅させる菌の種類や死なせる量に明確な定義はありません。例えば90%の菌が残ってしまっていても10%の菌が殺せていれば「殺菌」と表現することができます。
② 除菌(じょきん)
除菌とは菌を減らす効果のことです。
菌を殺さなくても、例えば塗布した面から菌を減らせればOKで、どの程度菌を減らすかについても定義はありません。つまり、水洗いで手を洗っても除菌と言えます
③ 滅菌(めっきん)
滅菌とは、有害・無害を問わず、すべての菌(微生物やウイルス含む)を死滅・除去することです。これは定義がはっきりとしていて、菌や微生物ウイルスなどの残量が100万分の1になることをもって滅菌とされています。
電磁波や放射線を使用したり高圧や高熱をかけたりして滅菌処理するのが有名です。菌の除去率で言えば最強だといえます。
④ 抗菌(こうきん)
抗菌はキッチン用品やおもちゃ、お手洗いやバスルーム周りの用品でよく見かけますが、これは菌の繁殖を抑える効果のことです。細菌を除去したり殺したりする効果はなく、あらかじめ菌が住みにくい環境を作ってくれるのです。ただ、これも対象となる菌や、菌の量、範囲などの詳細な定義はありません。
⑤ 消毒(しょうどく)
消毒とは、病原性のある微生物を死滅・除去させて害のない程度にすることです。上に登場した「殺菌」とも似ていますが、消毒の目的はあくまで「無毒化」であり、必ずしも細菌を死滅させていなくとも、病原体の感染力を不活性化させたり、病原体を危険ではない程度まで遠ざけることも無害化にあたるので消毒に分類されます。
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■ エタノール手消毒液について
現在、エタノールの噴霧式の手消毒液を利用されている方が圧倒的に多いかと思います。また、家に帰れば洗面所に直行して、まずは手洗いを励行されているかと思いますので、この二つを取り上げてみました。上の用語をよく読んで理解するようにしてくださいね。
■ 除菌や殺菌液を過大に評価しない
エタノール液で手消毒したら、もう新コロナウィルスには盤石などとは思わないことが大切です。エタノール液では殺菌を目的としています。殺菌は上でも書いた通り、100パーセント菌のうちの10パーセントの菌を取り除けば殺菌のメーカの表現が可能であるからです。
ただし、北里大学の研究ではエタノール液50%で1分で十分な新コロナウィルスの不活性化が可能との報告もあります。過大評価せず、過小評価に怯(おび)えずでもよいのかも知れません。
■ エタノールの濃度が重要
そこで、エタノール液を買う場合、エタノールの濃度が重要となります。
日本 76.9~81.4 v/v%
アメリカ 68.5~71.5 v/v%
WHO 60~80 v/v%
これを参考にしてよく確認の上で購入してください。
■ 手消毒液は殺菌、手洗い石鹸は除菌
エタノールの規定の濃度の配合された、手消毒液は、水を使用せずに「殺菌」を目的としています。一方、手洗い石鹸は、手を洗うことで菌を取り除く、「除菌」を行うものです。手洗い石鹸に含まれている成分により、「除菌」に大きな開きがあります。お使いの液体石鹸をこの表で比較してみてください。
感染予防に勝る薬なし、で頑張りましょう。