聖護院 京極のブログ

天と地の間に新しいことなし(ことわざ)・・・人間の行動は今も昔も変わってはいない

人工呼吸器に注文殺到

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人工呼吸器 画像出典:医機なび

 

人工呼吸器を初めて見たのは、23年くらい前の、義理の母が腎臓病で入院中に、肺炎を起こした時に装着された時のことでした。 親しい者だけが、集中治療室に入り、人工呼吸器の装着に関する説明を受けました。

 

『意識あるままでは、装着は無理なのでこれから眠りに入られます。勿論、治療で回復すれば取り外しは可能です。しばらくの間は、会話が出来ませんので、今お話をしておきたいことがあれば、どうぞ』

 

担当医はそう言いましたが、わたしたちは、事前に掛ける言葉を用意しておらず、

『大丈夫。頑張って!』

というのが精一杯でした。母が、

『ありがとう』

と、小さな声で答えにっこりしたのを覚えています。

 

それから一か月、危篤の知らせ。そして、人工呼吸器をつけたまま帰らぬ人に。

心電図が波形を描かないまま横線を引き、人工呼吸器だけが、まだ生きていて呼吸しているかのように稼働していたのが印象的でした。

そばにいた妻が、泣き崩れるのを慰めの言葉もなく、肩を撫でてやるのが精一杯でした。

 

 

新コロナウィルスに感染して、不幸にも亡くなられた方もこんな風だったのでしょうね。ただ、家族や親類、友人に看取られることなく。さぞ無念だったことでしょう。

 

 

あの日から、人工呼吸器のことなどすっかり忘れていましたが、新コロナウィルスの治療に思い返らせられることとなりました。ウィルスが肺の中でバリアを張るように蔓延して、呼吸が困難になるそうですね。

 

人工呼吸器を中小も相次ぎ増産 国内外から注文殺到

2020.5.13 06:51 sankeibiz(記事:出典)

新型コロナウイルス感染拡大で重症化した患者に使う人工呼吸器。中小の医療機器メーカーでも増産に取り組むところが相次いでいる。経済産業省関東経済産業局などもサイトを通じて、新規参入を呼び掛けるが、世界規模での部品の争奪戦になっており、生産に苦慮するところも出ている。

 

国内外から注文殺到

 

 三幸(さんこう)製作所(さいたま市西区)には3月中旬から人工呼吸器や酸素吸入器の注文が国内外から殺到している。同社は人工呼吸器を年間60台程度生産しているが、人手が足りないため、退職した社員にも声を掛けて人手を確保。4~5月で100台生産する。

 コーケンメディカル(東京都文京区)も、救急車の車内で使う人工呼吸器の注文がスイスなどの各国から数千台単位で入っている。福島市の工場は年間350台の生産能力を持つが、現在は約2倍に引き上げて対応している。メトラン(埼玉県川口市)もベトナムから4000台を受注しており、現地の工場などで生産を急ぐ。

 https://www.sankeibiz.jp/business/news/200513/bsc2005130500009-n1.htm

 

上記の記事中、年間60台程度生産していた会社が、一日に100台は無暴な話ですし、とても既存企業だけではどうにも対応できるはずもありません。

 

異業種からの参入にも、参入障壁があるようです。これらは、政府が動いてくれなければどうにもならないという話ですね。

同記事の続きです。

 

 人命にかかわる医療機器の製造には、厳格な規制がある。たとえば、人工呼吸器であれば、製造・出荷には、事前に品質調査や実地調査、薬事手続きが必要だ。これらの手続きにかかるコストや労力が、医療機器製造の他業種からの新規参入を阻んできた側面がある

 

新型コロナウイルスがこれ程に世界中に広がるとは、誰も想像出来なかったでしょうから、誰かがその対応を責められるべきではありません。誰もが想定外だったのです。

ただ、ワクチンや治療薬が出そろい、広く行き渡るようになるまで、なお一年以上かかるとも言われており、その間に、人工呼吸器があったなら救える命も多いでしょう。

 

是非、作る技術がある企業が参入障壁があるがために、製造出来ないというのであれば、特例などをを設けて参入しやすくしてもらいたいものです。

 

ただ、今はこのような状況下であるために、人工呼吸器が大量に必要であるとしても、この件が一段落すれば、需要は落ち込み新規参入が多すぎて、値崩れして苦境に陥るということも考えられますから、その辺は判断が難しいのかも知れません。そこは、政府主導で行って貰いたいものです。おカネや設備の補助、および、手続きの簡素化などで。