聖護院 京極のブログ

天と地の間に新しいことなし(ことわざ)・・・人間の行動は今も昔も変わってはいない

アベノミクスの最大の失敗は増税

 

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画像出典:青りんご投資


安倍首相が辞意を出して、何かあっけなく幕引きとなりましたが、アベノミクスだけは成功させてほしかったという思いだけが、残っています。アベノミクスが間違っていたわけではありません。その考え方は、今もなお正しいのです。これだけは、彼の名誉のために言っておきたいことです。

 

 

■ アベノミクスの登場

彼が、アベノミクスを引っ提(さ)げて首相の座にリベンジした時には、大いに拍手を送ったものです。

 

デフレ下において、個人は支出増やさず(収入が増えないから、したくてもできなかった)、企業は個人の支出が増えないのに、設備投資を行いません。作っても売れないし、値を安く叩かれるだけですから。両者は密の関係にあります。

 

したがって、景気は両者で委縮するばかりでです。

 

これを、打開するのは政府以外にはありません。政府が、まず個人や企業に先駆けて消費を喚起するような財政出動(例えば公共事業)を行い、需要を創造し、その需要に企業が設備投資などを行い、そこに勤める個人の収入が増え、消費が増える、そのサイクルを回すわけです。

 

きっかけを作るのは政府の財政出動であったわけです。アベノミクスは、要するにこの政府の財政出動を積極的に行うことで、景気の回復を図るものでした。そして、デフレ下では金利高が強いのを薄めるために量的緩和(市中に円がじゃぶじゃぶ状態)を開始しました。

 

 

■ アベノミクスが成功したのは、消費税5%までの期間

アベノミクスが成功したのは、5パーセントの消費税まででした。もし、このまま増税せずにいたなら、おそらくアベノミクスは成功を収めたはずです。しかし、現実には、財政出動を打ち消し、悪化させるに十分な消費税増税を行いました。

 

景気がようやく上向こうとする時の増税です。個人も企業もこれですっかり委縮して消費や設備投資を行わなくなりました。

 

 

■ 消費税増税はアクセルとブレーキを同時に踏んだよなもの

消費税増税は自動車で言えばアクセルという財政出動に対して、ブレーキを思いきり踏んだようなものです。車は急に速度を落とし、停止してしましました。しかも、ブレーキである消費税増税は強力で、アクセルをいくら踏もうがびくともしません。緩やかでも動いていれば何とかなったかもしれません。

 

ここに、アベノミクスは完全に失敗しました。

 

 

■ 財務省が癌

日本の財務省は、緊縮財政が大好きです。目的は、ドイツが行ってきたように、財政の均衡論です。財政健全化論ともいえます。ドイツは、いわば収入に見合っただけの財政支出を行うという考えです。

 

しかし、ドイツはユーロ圏という経済圏の中で、独り勝ちで、毎年、収入が増え続けていました。こういう時には、財政均衡論も良いでしょう。

 

しかし、日本の国内企業の収入は輸出企業の一部にしか増えていません。トヨタ自動車の売り上げが世界一になったからと言って、従業員の給料がすごく上がりましたか?輸出が伸びても企業が儲かるだけです。トヨタの生産は、日本以外生産が多いので、需要がえても輸出は伸びません。もしトヨタの全工場が日本国内にあったなら、状況は全く違ったといえます。

 

ほとんどの企業は存続に四苦八苦するだけでした。しかも日本は85%が内需です。ドイツは、韓国並みの輸出比率が6割程度です。輸出が伸びれば、企業もそこに努める個人も収入が増えていくことになります。

 

内需中心の日本では、その内需が増えないのですから、ドイツと比較しドイツのように財政均衡を行おうとしても無理があります。それを、美学のように日本の財務省は追及しているわけです。

 

麻生財務相が、アベノミクスが始まった当初の積極的な財政出動論者から増税論者に転じたのは、財務省の入れ知恵であったと推察できます。

 

彼が財務相にいる限り、アベノミクスが成功するはずもありませんでした。しかし、安倍首相は麻生財務相を切ることはできませんでした。リベンジを果たした時の後ろ盾であり、盟友だったのですから。もし、安倍首相が命を張って増税を阻止してくれていたら、心から思ます、、、

 

 

■ 消費税増税がさらなる同税の増税になる

消費税を上げると個人は支出を控えるようになります。当然です。貰った給料から何を買っても値上げされた消費税が上乗せされるのですから。それがなかったら、消費税分を消費も可能だったことでしょう。

 

となると、消費税分消費は委縮します。すると、税収は減となります。するとまたしても消費税を上げないと税収が足りないという悪循環に陥ります。もし、増税しなければ、個人も企業もその分が使えるのですから、政府がちょっと財政支出をすれば、消費は拡大に向かえるのです。

 

 

■ 誰が次の首相になってもいいが、、、

誰が次の首相になってもいいのですが、積極的な財政出動を行えて、消費税を減税でき、財務省と渡り合える人間を選んでもらいたいと思います。そのためには、民間人の起用も考えてほしい。また、その人を援護できるスタッフも固めてほしい。

 

 

殆ど私にとって異論のない記事が下記です。

 

検証アベノミクス:2度の消費増税で財政政策が機能せず=藤井・元内閣参与

配信

 [東京 26日 ロイター] - 第2次安倍内閣内閣官房参与を務めた藤井聡氏(京都大学大学院教授)は、歴代最長政権となった安倍晋三首相の経済政策「アベノミクス」について、消費増税によって第2の矢である財政政策が十分に機能しなかったとの見方を示した。
 
その上で、足元のコロナ禍内需が低迷する状況に対応するため、さらなる財政出動と消費税減税が必要と語った。24日に書面で回答した。 <財政政策がマイナスに> 藤井氏はアベノミクスの成果について、「2014年3月までの期間、消費税5%の状況下で10兆円の補正予算を組んだこと。この時、非常に大きな効果があったことは間違いない」と指摘。3本の矢のうち、2本目に当たる「機動的な財政出動」の初期の対応を評価した。
 
一方で藤井氏は、「14年の消費増税で、この成功は消し飛んでしまった。そもそも第2の矢は『財政支出額マイナス増税額』で測るべきもので、増税前まではプラスだったものが14年4月の増税以降、それがマイナスになった」と説明。「アベノミクスをやろうとしてやれなかったことを意味する」との見方を示した。
 
「第1の矢(大胆な金融政策)や第3の矢(民間需要を喚起する成長戦略)をいくらやっても、第2の矢を打たなければ資金は市場には回らないし、デフレも終わらない」と述べた。 成長と財政健全化の両立を目指す政策運営に関しては「もちろん大正解」とする一方、「増税と緊縮、国債発行額の縮小(プライマリーバランス赤字の縮小)を通して、経済再生でなく経済悪化を導いた」と指摘。「プライマリーバランスの赤字の縮小は、短期的には財政を改善するように見えても、翌年以降の財政を悪化させる。旗印は正しかったが、その旗印に基づく財政運営をしていなかった」とした。
 
14年4月と19年10月の消費税増税が「成長を止め、国民の貧困化を助長した。実質賃金の下落が一番わかりやすい尺度で、決まって支給される給与は1割以上、平均で下落することになった」とした。特に消費税率10%への引き上げは「税収すら下落させる効果を持った」と語った。
 
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