聖護院 京極のブログ

天と地の間に新しいことなし(ことわざ)・・・人間の行動は今も昔も変わってはいない

ロシア北極圏の燃料流出事故

 

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画像出典:AFP

ロシアの北極圏にある、火力発電所内にあったジーゼルエンジンの燃料である軽油タンクの一つが倒壊し、大量に流出する事故がありました。その量2.1万トン。

 

それは、2020年5月29日(金)のことでしたが、プーチン大統領の耳に達したのは、2日後の5月31日のことで、「事故の把握や報告が遅い」と発電所の責任者を叱責する様子が、ウェブで報じられました。

 

わたしもこのテレビ会議の様子を偶然に見ましたが、発電所の責任者である非鉄金属生産大手ノリリスク・ニッケル(ノルニッケル)筆頭株主のウラジーミル・ポターニン氏が言い訳をしきりに行い、大統領が叱責していました。

 

その燃料流出事故に関するロイターの記事です。

 

ロ大統領、北極圏の燃料流出事故受け法改正指示 ノルニッケルを非難

事故は5月29日に発生。露経済紙コメルサントによると、永久凍土の融解により燃料タンクの土台が壊れ、破損したタンクから燃料2万1千トンが流出。大半が河川に流入した。

 油膜は厚さ20センチ、水質汚染は基準値の数万倍に達しているという。除去作業が行われており、現時点で環境にどの程度の影響が出るかは不明だが、同紙は「ロシア北極圏では過去最大の事故だろう」と報じた。

 6月3日、プーチン氏は緊急対策会議を開催。ジニチェフ非常事態相とウス知事は「事故は5月31日に知った」と報告した。ウス氏は「事故の実情はSNS(会員制交流サイト)で把握した」とも述べた。

 プーチン氏は「なぜ当局が2日後に事故を知るのか。私たちは非常事態をSNS経由で知らなければならないのか」と激怒した。

 

リリスク・ニッケルという今回燃料流出を犯した会社は、永久凍土が溶け、燃料タンクを支える支柱が沈下したことが事故の要因だったと説明していました。

 

それは、その通りであろうかと思います。しかし、永久凍土が溶けたのは一晩の内のことではない筈です。それまでに危険になりそうな予兆があったでしょうが、点検も対策も取らなかったから、こうなってしまったという事でしょうね。日本では考えられないことです。

 

今回のことは、永久凍土の上に多くの建築物や工作物が立ち並んでいるロシア。それらが、今後すべてにおいて傾く危険性があります。

 

 

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画像出典:日テレ

 

 テレビでは、回収できたのは、100トン。1/20にも満たない量です。これがそのまま、環境汚染と環境破壊につながるのでしょうか。その責任も影響もロシアが受け取るしかありません。

 

 

わたしが興味あるのは、シベリアの永久凍土と呼ばれるものが次第に溶け出しているという事実です。地球の温暖化が、永久凍土を融解させ、融解されて凍土からメタンが放出されて、更に温暖化を進める、こういう循環が起きそうなのです。

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画像出典:ギガジン

 

永久凍土が融解すると、それまでそこに封じ込まれていた、病原菌やウィルスが大気に放出されて新たな感染症に人類が直面するという説まで出ています。上の永久凍土が融解すると、このように大きな地盤沈下を起こします。

 

これはまだ、融解の初期の段階で、もっと大きく沈下し、溶けた凍土が水となって大きな湖のようになるのです。深さは、最低でも数十メートル以上となり、その幅を広げていくでしょう。(下記画像)

 

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画像出典:ナスジオ

 

 徐々に進行している永久凍土の融解もいずれは、加速が付き、ロシアの北半分が湖水に満たされるなどという事もあり得ることですね。これは、ロシア一国の問題ではありません。プーチン政権はそのことをどう考えているのでしょうか。彼が、地球温暖化の大きな被害国になるかも知れないという事を認識していれば、もっと環境問題に積極的であってしかるべき筈なのですが。