聖護院 京極のブログ

天と地の間に新しいことなし(ことわざ)・・・人間の行動は今も昔も変わってはいない

中国依存症になりたい?ドイツ

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画像出典:Newsweek日本語版

2019年9月、中国武漢市を訪れたメルケル独首相。毛沢東が泳いだ揚子江の橋の上で車列を止め、写真を撮った。2019年9月、武漢市で撮影(2020年 ロイター/Andreas Rinke)
 

 

 

ドイツの対コロナ国際協調とは、アメリカと一線を画すものでという趣旨の記事は下方に引用しています。

ある意味で、ドイツにはその道しかありません。ドイツが、アメリカのようになれないのは、主にその経済構造によります。

 

アメリカは、GDPに占める輸出依存度は精々11%程度に過ぎません。日本でも、同15-6%程度です(共に2018年度)。決して多くはありません。

 

従って、アメリカは、国内に工場を造り、雇用を造り内需を拡大して発展していこうとしています。これは日本でも可能です。何も輸出をゼロにして成長しようというのではありません。経済発展の主軸は内需であるべきなのです。

 

それによって工場が建ち、それによるインフラが整備され、そのインフラに整備に関する会社が潤い、工場に雇用が生まれ、労働者の給与が発生しての好循環が出来る可能性があります。トランプ大統領グローバリズムへの決別宣言はこれが目的です。

 

 

一方ドイツは、そのような経済構造とはまるで違っています。ドイツのGDPに対する輸出依存度は70%を超えています。国内で生産したものの膨大な量を輸出することで捌いています。確かに国内にある工場で生産することは、悪いことではありませんが、その生産物を国内で消費出来なければ、輸出するしかありません。

 

その輸出先が、巨大な市場である中国に向けられるのは、ドイツの選択の余地のない経済体制であるといえます。同じユーロ圏では、今はもう新コロナウィルスの影響で経済は低迷して苦しんでいます。殆ど、ドイツ製品を買ってくれません。

 

ドイツはその最大の輸出先であるユーロ圏での貿易が多くを占めており、圏内で独り勝ちです。一番ユーロ圏で得をしたのはドイツで、他の国はすべてドイツに食われてしまいました。お隣のフランスでさえ。それなのにフランスは、なおユーロ圏を維持することにドイツに協調的です。

 

今、ユーロ圏の国々は、ドイツの一人勝ちに反発を始めています。そう遠くない内にユーロ圏離脱の国が、ポロポロと出てくることが予想されます。イギリスが、ユーロ圏から離脱したことは、それで正解だったと思います。

 

こうした、経済的な側面を考えてみて、次の記事を読めばドイツの取るべきスタンスがアメリカと自ずと違うことが判ります。ドイツがアメリカのような内向き路線をとりたくても取れないし、中国から決別出来もしないことが判ります。どんな国であってもいい、ドイツの製品を買ってくれるなら、この国には金儲けの見境がありません。

 

国際強調などというのは、一つのまやかしのスタンスに過ぎません。

 

 

アングル:ドイツが選んだ対コロナ国際協調、米の内向き姿勢と一線

2020年06月14日(日)08時06分 Newsweek 日本語版

(書き出し部分略)

<国際協調かナショナリズムか>

ロイターはドイツ企業の経営者や州・都市の首長、首相に近い関係者を取材した。そこからは、ドイツがパンデミックにいかに素早く対応したかが見えてきた。さらに、多くの国が自国第一主義に走り、感染源となった中国を非難しがちになる中で、連携を重視するメルケル首相の国際協調の姿勢が浮かび上がってきた。

(中略)

誰もが気にしたのは経済への影響だった。中国はドイツにとって最大の貿易相手国であり、ドイツ統計局のデータによれば、両国間のモノの貿易は、2019年で総額2060億ユーロ(約25兆円)相当に達している。

 

引用はここまで。引用したい記事が分散しており、主だったところだけ抜き出しました。全文を希望の方は、下記のサイトへどうぞ。

https://www.newsweekjapan.jp/headlines/world/2020/06/280113.php

 

 

ドイツがアメリカのように、WHOを糾弾しないのは、WHOが中国寄りの進路を取っている事に、気を使ったからでしょう。もはや、ドイツが中国を輸出国として放棄出来ないくらいに、中国依存度は高まっています。中国への輸出は、アメリカ、フランス、に次いで第3位を占めています。縁を切りたくても切れない事情があります。それどころか、中国への依存度をあげようとしています。

 

まさに、ドイツにとって中国は依存症国です。縁が切れません。

 

それは、中国にとっても好都合です。ドイツという欧州の経済大国を味方に引き入れることが出来ます。米国を牽制出来ます。

 

今のドイツは、おカネを儲けるためには、すなわち自国の産業を支えるためには、中国に関する物事には批判や制裁を控えなければなりません。これは、何も新コロナウィルスが流行したからではなく、その前からの中国国内の人権問題や香港問題でも一応の懸念は示しても、それ以上の行動はありませんでした。

 

 

■ 米国はドイツに愛想をつかした?

米国はNATO北大西洋条約機構)からアメリカ軍を引き上げることを決定しました。アメリカのWHOへの非難にも中国へのそれにもドイツは加わりませんでした。

 

そんな、ドイツに米国は、『なんで守ってやらなきゃならないんだ?』

 

と思うのも当然です。

 

 

米軍、ドイツ駐留を縮小か トランプ氏が指示

2020/6/6 4:57 (2020/6/6 8:57更新) 日経新聞

ワシントン=中村亮】米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は5日、トランプ大統領がドイツ駐留米軍の規模を縮小するよう指示したと報じた。現在の3万4500人を9月までに2万5000人に減らすという。米国が一方的に縮小を決めていれば米欧同盟の亀裂が広がり、北大西洋条約機構NATO)の分断を図るロシアを利する恐れがある。

国家安全保障会議NSC)の報道官は5日の声明で現時点で発表することはないとしつつも「最高司令官であるトランプ大統領は米軍の最適な体制や海外駐留について精査している」と指摘した。ロイター通信によると、米軍の一部はポーランドなどの隣国に移る計画だという。

ドイツのメルケル首相は6月下旬に米国で一時予定していた対面での主要7カ国首脳会議(G7サミット)に欠席する方針を示してトランプ氏が激高したとされ、駐留縮小はその報復の可能性がある。

ただウォール・ストリート・ジャーナルによると、米政権関係者は昨年9月から駐留縮小を検討しており、G7サミットを巡るやり取りは決定と無関係だと説明している。

 

(引用ここまで。続きは下記のサイトへどうぞ。)

 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60072340W0A600C2NNE000/

 

まあ、トランプ大統領は、自国が一番大切というスタンス(=アメリカファースト)なので、声をかけても、まともに返事もしないドイツのメルケルには、国を守ってやるなど、アホらしいと考えるのは当然です。

 

「昨年の9月から駐留の縮小を検討しており」とあるのは、新コロナウィルスとは関係なくそれ以前から、中国寄りのドイツに愛想をつかしていたといえます。何しろ中国さま様でしたから。

 

その中国も経済でアメリカの制裁を受け、青息吐息です。ドイツはそれでも尚中国にすり寄るしかないのでしょう。ただ、中国がドイツの製品を買えなくなる時は、アメリカの制裁が続く限り必ず訪れそうです。

 

その時、両国が『カネの切れ目が、縁の切れ目』になるのでしょうか。