真面目に働くだけでは豊かに暮らせない
Q どのポストまで昇進したいですか?
「真面目に働くだけでは豊かに暮らせない」あるいは、「真面目に働くだけでは金持ちになれない」。このことばはわたしのこれまでの人生の中で生じた、一つの回想であり、実感でもあり、結論でもあります。
何もおカネだけが人生の全てではない、こういわれます。それに異論はありませんが、おカネがあるとのないのでは、同じ人生でもかなり違ったものになる筈で、苦労やストレスは常におカネのない場合に重くのしかかります。
カネがあればあるで悩みはあることでしょう。しかし、ないことでの悩みよりはずっとマシであろうかと思います。何故なら、おカネは今あるのであり、手に入れる労力は不要だからです。
■ 年収500万の人は最大500万しか残せない
年収500万円の人がその全てを貯蓄に回せても、年間500万円しか残りません。それが可能なのは、親に寄生するしかありえません。「パラサイト(寄生)」し、何もかも親に頼るのです。寄生虫のように。
そんなことは、ほぼ不可能でしょう。
下表は、月収からの手取り額と年収からの手取り額を表にしたものです。
年収や月収とは、年又は月の総収入額のこと。税金などをを引かれる前の金額です。そこから税金、家賃やローン、公共料金などの支払いがあります。手取りとして残る金額に対して、貯蓄に回せるのは精々5-15%でしょうか。年収が低ければ貯蓄に回せるおカネが殆ど残りません。下手をすると、赤字になる事でさえあり得ます。
それでは、年収が500万円(月収41.6万円)の人は、実際に残せる金額はいくらでしょうか。
上の表の画像はその計算例です。
500万円の年収の人の手取りはこの表では、年に450-510万円となっています。ずいぶん幅がありますが、控除される金額が、額面の金額や扶養家族の有無などによって異なるからです。
下表は一か月の独身者の標準的生活費の内訳です。教育費の7円は少なく過ぎますし、住居費は安すぎという反論もあります。独身の場合は、一人なので何かが犠牲になるのは、辛抱すればいいだけですが。
この中から、生活していくわけですが、大切なことは赤字にならないようにすることです。
もし赤字になれば、その分のおカネは、何かで節約するかどこかから引っ張ってくるしかありません。最初に行うのは節約ですが、これはなかなか難しい。特に若い時には。それに、不意に纏まったおカネが必要になる事があります。自分あるいは家族の病気やケガ、付き合いなどによってです。
■ 真面目に働いても収入が大きく増える訳ではない
真面目に働くことは、とても大切です。その人の信頼を築いているのと同じですから。だからといって真面目であっても、どんなに努力しても、大きく収入が上がることはまずあり得ません。サラリーマンなら、雲の上の存在くらいの役職に就くことは、殆ど今の世では不可能です。
今は、会社に入る時点で、生涯にたどり着ける最大役職はほぼ決定しています。会社もどのような人材をどのように配置するかを最初から決めていて、例えば部長職や取締役職などは、他社の優秀な人材をハンティングして登用します。
会社の中の人材から選ぶことをしない訳ではありませんが、実績のある他社から引っこ抜いてきた人間である方が、確かです。社内でのしがらみもありません。従って、一社員が努力を積み重ねて、平から部長や取締役辺りまで出世することは、余程の実績と才能がなければまずあり得ません。
■ 同期の中から地位が上がっていく
会社に同期で入った人、学友で違う会社に入った人それぞれが、同時にスタートする訳ですが、地位が上がって行く人が出てきます。要するに出世です。そういう話が10年もすれば出てきます。その人が、同じ会社だったり、親しくしている人だったら、どうでしょう?
冷静でいられないでしょう。様々な理由を付けて、自分はそうはなれないと合理化してしまいます。そんな時に出る嫉(そね)みは相手にも自分にも向かうものです。もし、収入の道が他に確保出来て要れば、嫉みがなくなることはないにしても、和らぐ筈です。
■ 出世が無理と分ったたら
出世が無理と分るのは、入社して数年以内です。自分より高学歴がわんさか居て、物事の飲み込みも早いし仕事も出来る。到底、自分の及ぶところではないと知るのに、長くは掛かりません。しかし、辞めてしまおうと直ぐに考えてはいけません。
感情で物事を決めると、どんなことでもうまく行きません。そこは、よくよく考えてから行動するべきところです。よくよく考えても、考えが浮かんでも定まらないのが普通です。それは、新しい生き方への『怖さ』であり『躊躇』で、考えることへの拒否感から来ています。あって当然です。しかし、ここが決断時です。
■ 真面目に働く一方で別収入の道筋を
冒頭の画像のように、今の若い人の半数以上は、自分が努力して、会社の部長や専務になりたいと考えていません。
本当にそうなのでしょうか。
『成れるものなら成りたい』
が、本当であろうかと思います。しかし、昭和の時代のように平から主任、係長、課長、部長と準を追って上がれるシステム(パイプライン)はあちこちに漏れが生じてとっくに崩壊しています。
成りたいが成れないから、成りたいとも考えないだけです。また、会社に持つ忠誠心も殆どありません。日々の糧を得る手段にすぎません。それは、会社側が努力したなら、「君にも出世は不可能じゃないぞ」という姿勢を見せないのですから当然でしょう。
それなら、一日が終わると、飲んで騒いでゲームで時間をつぶす。そういう生き方も、ある意味で仕方ないかも知れません。しかし、会社が全てではないのだと考えて、会社が左前になったり、解雇されたり、病気で退職しなければならなくなった時に備えの考えが必要でしょう。
■ まずは自分へのスキルアップへの投資
働き始めると、自分が何が本当はしたかったのか、ということに気付くことがあります。勿論、気付かない人の方が多いのかも知れません。ある人は、興味ある分野への資格取得や実務経験などを積みましょう。積上げた経験で会社を移り変って、最後は独立ということも不可能ではありません。
30歳までに、自分が好きなことが見つけられない、というのは自分に真剣に向き合っていないと言えます。
■ 株式投資の勧め
わたしの一番のお勧めは株式投資です。株式投資は、知的なゲームでもあります。ゲーム好きな人には、向いています。最初は、失敗もありますが、ゲーム好き特有の研究熱心が、やがて成果を生み出すこともあり得ます。
始めるには「種銭(たねぜに)」が必要です。そのためには、食うや食わずの生活を一定期間、例えば、2-3年は覚悟してください。すべての欲望を残念してください。そのあとは、そんなことはしなくてもいいですから。
下表のように厳しいでしょうが、多くのものを犠牲にするしかありません。一人暮らしの内に種銭を作り上げましょう。
ちょっとずつ種銭を作るなどと悠長なことはダメです。ここは、いろいろな誘惑や気迷いが出てしまうところです。
『ま、ちょとくらい贅沢してもいいか。』
とか
『自分へのご褒美』
などと、気を緩めてはいけません。そこは、このわずかな2-3年を鬼の形相で種銭をともかく出来るだけ多く作ってください。多い程、買える株の選択肢が広がりますので。
株式投資は、安く買って高く売るだけのことですが、これがなかなか思うに任せません。しかし、自分なりの投資方法を身に着けられれば、15年あれば、生涯年俸くらいは十分に達することが不可能ではありません。
嫌な上司に気を使う必要も、同僚の出世も気せずに生きられます。実益が上がり始めると、いろいろな方面に興味が湧き、知識が広まります。同時に、株式投資へそれが活かされるようになり、投資効率が上がって行きます。
株式投資は、特別な場所や時間を取ることなく、余裕の時間を利用すれば、投資サイトに齧(かじ)り付きでなくとも十分に可能です。なお、自宅購入は、株式投資で得たおカネを回すことで、それより先にしてはいけません。
■ 不動産投資は、自宅購入だけでいい
不動産投資は、大きく投資をして、ゆっくり少しずつ利益を載せて回収するものです。例えば、中古のマンションの一室を購入して、貸し出すとか、空き地を、コインパーキングとして貸し出すなどが初歩ではあります。しかし、それ程儲かりもしません。
従って、自分が住む住宅を買うのというので十分です。自分の家は不動産投資の一つですから、無理なローンを組まないようにして、出来るだけ利便性の高い土地のものにしてください。
借家でもいいという人もいます。借家に住んで家のローン分だと思いお金を貯めたらいい、ともいう人もいますが、なかなかそれは難しいことです。家のローンは返済が決められているから、支払いますが、それがない借家暮らしは、つい使ってしまいますから。
それに、老後に至っても借家は支払いが辛いので、狭くても少し古くても持ち家は必要です。その時には勿論、ローンが残っていてはいけません。
以上参考になればいいのですが。