■ 日本の家計債務
家計債務とは、国民の一家庭が抱える金融機関などからの借金のことで、住宅や自動車のローン、クレジットカードを使った借り入れなどが含まれます。日本では、単に「我が家の借金」程度の呼び方で「家計債務」などとは呼びませんが、内容に違いはありません。
家計債務が増えたからといって直ぐに危機だという訳ではありません。同時に、収入も増えればよいだけのことです。しかし、今の日本のデフレ経済下で収入が順調に増えている人がどれだけいるでしょうか?
日本は2008年からすれば、下のグラフのように減少はしています。デフレが続いているのに、借金が減っているという事は、生活費の切り詰めを意味しています。人々が消費を減らしているのです。これでは、日本も内需が拡大する筈がありません。
■ 韓国の家計債務
一方韓国は、家計負債は増加の一方で日本のように減少を経験したことは、これまで一度もありません。これは、借金に対する国民の考え方の違いも影響しているかと思います。日本では、借りた金は必ず返さねばならないという意識が強く、家計債務が増加すると、自然とブレーキがかかります。
一方韓国民は、返せなくなればなるで、どうにかなるという楽観的といういうより、捨てばちなところがあります。勿論、貸す側も、借金がまるで返済の見込みが無くして貸し出しているわけではなく、担保はちゃんと取っているようではありますが、、、
それゆえ、韓国の家計債務は増えるばかりですが、日本でもクレジットカードによる家計債務は昨年あたりから増加傾向にあります。
■ 可分所得
税金や借金返済に充てた残りの自由に使えるおカネのことを可分所得といいます。
出所)OECD National Accounts Statistics: National Accounts at a Glance
韓国が世界ランク6位なら日本は18位です。ランクが低いに越したことはありませんが、日本も順位を上げてきています。国民がどんどん貧困化してきています。貧困化すると、「貧すれば鈍す」という言葉もあるように、国民の民度が下がるというか、形振(なりふり)構わない行動が目立つようになる気がします。それは、ひいては平穏な社会を不安定化へと推し進めます。
■ 韓国は企業も債務が膨大
韓国はこの他に企業も一部を除き企業債務が膨大です。積みあがるばかりの債務がいつ、どのようにして収束するかは誰にもわかっていません。一種の海賊ルーレットゲームのようなものです。どこかがきっかけとなって、一気に企業債務不履行が連鎖することは、ほぼ間違いないでしょう。
韓国の企業は、典型的な加工貿易ですので、輸入品の加工から輸出品への間の、カスミのような利益を掬(すく)い取って事業を回転させています。
したがって、企業は現金の積み上げである内部留保金は殆どありません。いわば自転車操業で、事業を拡大して利益のカスミをどれだけ幅広くすくい上げられるか、あるいは、どれだけ輸入から輸出までのサイクルを短くするかが大切なのです。
韓国経済に潜む危機、高水準の家計債務は韓国銀行のアキレス腱
2019.10.28 4:10
韓国の家計債務の対GDP比率(2019年第1四半期)
出所:韓国銀行
韓国経済の減速が目立ち、デフレの懸念すら台頭してきた。輸出や設備投資中心の不振が消費など内需に波及していくと総崩れになってしまう。
心配なのが右肩上がりで拡大を続けている家計債務だ。今年初めには対GDP比で93%という、サブプライム危機前の米国に匹敵する水準に達した。増加のペースも懸念材料で、2008年末には73%にすぎなかった。可処分所得対比で見ても、ここ10年で117%から158%に急拡大している。
(後略)引用はここまで。続きは下記のサイトへどうぞ。
この記事は、日付でも分かるように昨年の10月下旬に書かれたものです。
韓国の家計債務の悪化はこの記事以前から、そして今も深刻化が進んでいます。この記事の記載時には、今日のような新コロナウィルスによる影響が全く出ていない時でしたら、コロナが直接影響をしたわけではないのです。しかし、追い打ちを掛けたことは間違いありません。
当時以前から日本のマスコミからは、
「もう、韓国はおしまいだ。家計負債で破たんする」
と盛んに指摘したり、韓国経済の本が出版されたりして来ました。しかし、何とか持ちこたえて来たのは、家計とのやり取りのある金融機関が、おカネの貸し出しに担保を確保できているからでした。
冒頭の題字にもあるように、韓国民の家計債務の債権者は、韓国の金融機関です。もし多くの家計債務者が返済不能に陥った場合、韓国の金融機関がその打撃を受ける可能性があります。担保は取っているものの、返済不能者が続出すると、担保価値は見る間に下落するからです。かといって、追加担保もそれを助長しますので、簡単には取れません。
非常に危ういバランスの上に両者はいる訳です。
記事からの抜き出し引用です。
高水準の債務は成長の重しとはなるが、今後一段と景気が悪化しても、家計債務危機に陥る可能性は現時点では小さいとみている。
銀行の預金/貸出比率を見ても過度なレバレッジはかかっていない。債務は高所得で信用スコアの高い家計に集中しており、ショックへの耐久性は高い。
高リスクの借り手についても貸出の9割近くは担保でカバーされている。何よりも低金利環境は当分の間続きそうだ。
このように、何とかなってきたのですが、新コロナウィルス蔓延による韓国経済の打撃は、高所得者においても免れることが出来ません。
■ 日本企業の内部留保金は膨大
一方、日本国民の所得の減少による窮乏生活に対して、日本は企業は現金を膨大に積み上げています。日韓のこの違いは、国力にでています。
日本の場合は、企業がデフレに備えて現金を積み上げてきたことは、ずいぶん批判されてきました。しかし、デフレでは投資するにも投資するだけのリターンが得られないことが多く。おカネを積み立ててしまわざるを得ないのも事実です。
この度の新コロナウィルスの世界流行で企業業績が著しく悪化しても、何とか持ちこたえることが出来ているのは、このため込んだ現金があったからであろうと思われます。結果として、最悪の世界経済の中で、日本企業の体力は、低下はしているものの、いざコロナの終息となると、一番に活発に動ける体力の温存はあると思われます。
■ なぜ韓国は家計債務が多いのか
「なぜ韓国の家計債務が多いのか」といえば、政府の政策による結果です。韓国では1997年にIMFの管理下に置かれたことがありました。経済の低迷と通貨安でデフォルトになりそうになりました。そこで、内需拡大のため、広く国民にクレジットカードの利用を勧めました。
クレジットカードを利用した消費には、所得控除がなされるなどの優遇処置がとられました。その結果、国民はクレジットカードによる消費に頼るようになり、個人の消費額の80%にまで達するようになったのです。
その結果、韓国の内需は拡大し経済は持ち直し、通貨危機も脱出することが出来たのでした。
■ 多重債務者の増加
この政策の結果、クレジットカードににょる多重債務者も増加し、返済不能となってしまう人も同時に増加しています。
■ 金融システムが壊れる可能性
現在の債務者がこの新コロナウィスルによる国の経済打撃が、そのまま家計債務に影響し始めています。返済不能になれば、貸し出している金融機関は、担保を処分して資金回収することになりますが、返済不能者が続出すれば、担保価値は自然と落ちます。金融機関がその時、大きな打撃を受けてしまい、韓国の金融が不安定となって、再び経済危機へと発展するのはそう遠くないでしょう。
韓国は量的緩和というこれまでどの大統領も行わなかった禁じ手をついに出しました。これは日本やアメリカ、ユーロ圏などが行っている通貨を市中に大量に流して、デフレで金利高感を抑える目的で行われるものです。
更に、金利引き下げも行いました。
量的緩和も金利引き下げも主に企業がおカネを借りやすくするための方策です。しかし、この不景気な世の中で誰がおカネを借りるでしょうか。需要な無いのに工場を立てる訳にも行きません。そんなことをすれば、ただでさえ、供給過多で価格が値下げ競争の市場が更に激しくなるだけです。
■ 借り手の無いウォンは、株式市場へ流入
この二つの政策は結局、韓国ウォンが借り手もなく国中に溢れます。その溢れたウォンの行き先は、株式市場です。新コロナウィルスで企業業績は極度に落ち込んでいて、株式市場にとって良い材料などある筈はないのですが、「赤信号 みんなで渡れば 怖くない」の良くも悪くも後先考えずに突っ走る国民性であってみれば、いつ崩壊するとも知れない韓国の株式市場も絶好の狩場なのかも知れません。