サラリーマンとして、まじめに働くだけでは裕福になれそうにない。
ましててや、個人経営の建築設計事務所勤めでは。今回から不連続に、サラリーマン以外にどんな投資をしてきたかを報告的に書いてみたいと思います。
■ 20歳台前半で気づいた
わたしが、20歳台の前半でそう気づいた時から、サラリー以外での収入を考えるようになりました。色々な案が思い浮かび且つ消えていきました。サラリーマンとしても仕事の外に、時間外で働くことは体が丈夫ではないわたしには不可能に近かったのです。
今日においても、建築設計事務所は、徒弟制度(つまりは、見習い)の色の強い職業であります。技術の習得までは、教えて貰うといことが必要であり、つまりは給料が滅法低くなることはやむを得ないことではあります。
蛇足ですが、技術がある程度習得出来れば、誰もが独立を目指すこととなります。それがまた、設計料がダンピングする原因となり、建築設計業界が豊かになれないとういうジレンマになっています。
■ 図面作成のアルバイト
そこで、空き時間に行ったのは、わたしやわたしの知人の務める設計事務所の図面を描くアルバイトでした。わたしは、アルバイトの内容折衝、報酬と図面の受け渡しを担当しました。わたし自身は描くことはせず、わたしの別の友人に任せていました。
早く言えばピンハネ業でした。
わたしは、図面を描いてくれる友人とは違い、バイクを所有しており移動は簡単に出来たのです。また、極端に手書きの図面が下手でもあったので、自然とこうなるしかなかったのです。
■ アルバイトは順調
アルバイトが順調に続いたのは一年程でした。図面を描いてくれる友人の仕事が多忙になって来て、わたしの分まで手が回らなくなってきたのです。わたしは、自分でも少し、描いてもみましたが、根が不器用で、お金を取れるものではなく、直ぐに残念を決断しました。わたしの信用まで、勤め先以外で悪化させたくなかったから。
■ アルバイトのあと
アルバイトが終了して、途端に時間が余るようになりました。
当時の主流の図面を描く時の手段としては、製図版にドラフターという機器を利用した手書きでした。この手書きの下手であることこそがわたしを苦しめたのです。
しかし、わたしが務めていた設計事務所の近くに、大学の教授が開いた設計事務所があり、そこがパソコンCADというソフトで図面を描いているらしい、ということを耳にしました。
■ CAD
CADというのは、パソコン(コンピューター)で作図する図面ソフトのことで、これを使えばわたしの悩みの種である下手な図面の問題が解決できるということも、解りました。プリントアウトすれば上手下手はあり得ませんから。
■CAD?
最初の頃は、図面をパソコンの画面の中に描くということが、全く理解できませんでした。あの、大きな図面をどのように小さなパソコンの画面に描くのか、描けるのかが不思議でなりませんでした。しかし、縮小、拡大、部品の切り貼り、以前の図面の再利用などが自在に行える、、、しかも上手下手はない。
わたしが、設計を続けていくとするなら、これをマスターするしかない。そして、これを武器にサラリーが上がるかも知れない。そう思いました。
■ 大学教授の元を尋ねる
わたしは、噂に聞いた大学教授の元を尋ねていきました。最初は拒絶されるかも知れない、不審者に思われるかも知らん、と思い悩んだのです。しかし、先進的なCADを取り入れる位な人であり、快く受け入れてくれました。
そこに、助手として働いていた同年代の青年とも知り合いになりました。
■ 足しげく通う
足繫くその大学教授の事務所に通い、パソコンという機器の使い方やソフトなどを、明治維新時代の日本の若者の様に、知識吸収に没頭しました。今日の様にインターネットがまだ影も形もない時代であったからです。
■ 必要なパソコンとソフトを購入
わたしは、食うや食わずの生活をしてお金を貯めました。そしてCADを自宅で使える機器の環境を整えました。それから、仕事が引けると、マスターするのに没頭しました。ようやく使えるようになったのは、それから一年がすぎていました。
■ しかし
しかし、当時の手書きが主流の設計事務所ではCADで図面を描くなどと言うことを、誰も考えておらず、わたし努力は少なくとも3年は早すぎたのでした。しかし、いつの日かCADで図面を描く時代が来ると、わたしは固く信じていました。
というより、信じたかった。
■ しかしまた
しかしまた、CADソフトは多種多様にあり、互換性が殆どありません。
わたしは、また難問に直面しました。日本を代表するような大手のゼネコンの現場での図面作成の仕事にありつけ、給料も5倍くらいになって、自営業者として独立したのです。CADが使えるという触れ込みで。
しかし、そこでのわたしが積み重ねてきたCADソフトは利用できませんでした。新たに、会社指定のソフトの提供を受け、これをマスターするしかなかったのです。これも、泣き出しそうになりながら、何とか使えるようになったのは、比較的短期間の数か月でした。それまでに得てきたCADの知識が大いに役立ったのです。
それまでは、手書きでしかありませんでしたが、まだその時に至っても、大手のゼネコンでさ、CADの導入は30%程度だったのです。
■ 今日
今日はどうでしょうか?手書きの設計図を描く人など、殆ど居ないと思います。ほとんどの設計者が、CADを使っています。さらには、今後2次元CADが主流から3次元CADへと進んでいくことでしょう。
2次元CADは平面的にしか描けません、手描きと次元は同じなのです。しかし、3次元CADは立体的の描きますので、あらゆる角度から2次元CADで検討できなかった部分が検討出来たり、見積もりが連動で可能になったりします。
が、データー量が多くなり、パソコンがそこまでついていかないという現状で利用は進んではいません。
しかし、今から、主要なソフトでマスターしておけば、将来有望な自分への投資でありましょう。