聖護院 京極のブログ

天と地の間に新しいことなし(ことわざ)・・・人間の行動は今も昔も変わってはいない

カブトムシ 勝手に育つ

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カブトムシの幼虫 お腹にvの形のある左がオスとなります(赤丸部分)

画像出典:インセクトアルティマ

 

カブトムシを育てるというと、菌糸の瓶で幼虫から育てるイメージがあるかも知れません。しかし、実際には、今日においても天然の腐葉土やおがくずの中で育てるのが一般的です。

わたしの子供の頃の薄れつつあるカブトムシの記憶を書いてみたいと思います。

 

又しても、子供の頃の記憶です。これは、わたしの父が畑に蒔く腐葉土を作るために、行った作業が偶然にもカブトムシの生育環境に合致していたという話になります。

 

 

■ クヌギの木

わたしの家は山の裾野を切り開いた小さい岩の多い崖下にありました。クヌギの木は家の半分に覆いかぶさるような形で、崖上に十本近くが植えられていました。いずれも、当時で既に成木(せいぼく)となって、幹太く、背高に茂っていました。

 

秋が深まると、それらのクヌギからの落葉は凄まじく、大量に屋根や家の周囲に、子供のふくらはぎに届く程の雪の様に積もるのでした。

 

 

■ 腐葉土を作る

その頃の父は、11月の下旬を過ぎる頃になりますと、これらのクヌギを主体とする落ち葉を山や庭からかき集めて堆肥(たいひ)を作る作業を始めるのが恒例となっていました。

 

3メートル四方に杭を打ち、木の板で囲いを作りますと、その上に掻き集めた落ち葉を放り込みます。ある高さになりますと、その上をわたしたち子供が入って踏み固めます。その後、米ぬかを一面に撒きます。

更に落ち葉を入れてまた固めるの手順を幾度か繰り返します。それでもなお落葉が囲いから溢れる程度になるまで入れて作業は終了となりました。

 

 

■ 春まで放置

これで、春まで何もせずに放置すれば良いのです。冬になり寒い日が続くことが日常となった頃には、うず高かった落ち葉も内部のバクテリアやミミズなどの分解によって、囲いの9割近くへと嵩が落ちてきます。

 

朝の陽光の中で、白い湯気が立ち上るのを目撃することが日常となります。囲いの中の落ち葉は分解が進み嵩は更に落ちて、当初の6割程度となります。この中でカブトムシの幼虫も生育していたのでしょう。

 

 

■ 春

暖かな陽射しが射してはいるものの、冷気が肌に痛い頃に腐葉土はほぼ完成します。その半月後には、わたしの家のそうは広くない畑に、腐葉土を蒔く季節が来ました。囲いの一面を取り除き、鍬(くわ)を入れますと、ここかしこから、カブトムシの幼虫を見つけることが出来ます。

 

わたしは当時においては、それを見ても何の感動もありませんでした。カブトムシもクワガタも、裏山に上り、クヌギの木を一蹴りすれば、いとも容易(たやす)く手に入りましたから。

 

 

■ カブトムシの幼虫

カブトムシの幼虫は、いつどのようにしてこの腐葉土の中に入っていたのかは、わかりません。特に知りたいとも想いません。しかし、都会の子どもたちがカブトムシを、お金を出して買っているのを見るにつけ、隔世の感をいつも持つものです。

 

もし、カブトムシを育てて見たいのなら、以上のような手順を、わたしの家の作った囲いよりスケールダウンしたものを自ら作り、用いて、落ち葉拾いから始めて見ても良いと思うのですが。

買うのではなく。