岐阜県の関市に行きました。ついこの間のことです。
関市は、刃物の生産で有名で、刀剣の生産地でもありました。その技術を生かし、髭剃りの一大ブームを起こした会社があります。
■ フェザーミュージアム
訪れたのは、フェザー(フェザー安全剃刀株式会社)で現在は大阪市に本社を構えています。しかし、出身は岐阜県の関市。わたしたち家族が行ったのは、関市にある「フェザーミュージアム」という同社の社歴を記念した会館でした。
ミュージアム前の広い敷地には、既に大型の観光バスが二台のほか、乗用車も数台が止まっていました。混雑を予想しましたが、来館は小学生の一団で有ることが知れ、新感染症の恐れは少なかろうと思われたので、入館しました。
館に入ると、黄色い帽子の小学生が、見学通路を開けて、体育館座りで案内の準備を待つところでした。
■ 小学生3年生
彼らが小学三年生であることは、胸につけたネームプレートで知れました。わたしたちは、晴れがましい気持ちで通路を進む。すると、まるでファッションショーで見るような好気の視線を感じます。それは、座っている小学生の視線で、入館から展示物に至る間にへばり付くようでありました。
まるで、珍しい生き物が通るのを見る目つきでもありました。
そして、そこは最近の小学生らしい、よく教育されたと実感するところです。
『こんにちは』
『こんにちはー』
『こんいちは~』
とあちこちから挨拶してくれるのです。しかし、物珍しい視線が変わることはありません。
わたしたちも、会釈をしたり
『あ、コンニチ わ~』
を返します。
展示が始まるところで、館の女性が、にこやかに迎えてくれてなんだかほっとしました。
■ 最近の小学生 2
管内を一巡して、最後にまた小学生が少し離れて見える位置まで戻って来たときでした。ようやく小学生らが見学を始めるところとです。
案内に慣れた館の若い女性が
『皆さんは、フェザーという会社のことを知っていますか?ー』
と、声をあげました
すると、館の女性の近くにいた男子が、
『全く、心当たりがありません!』
と、きっぱり。
『あはは、全く心当たりがないって。あはは』とわたし。
これには、娘が
『学校で見学先を予習している筈なのになあ』
『先生に恥をかかすなよ』
と怒ります。もっともですね。
しかし、わたしが、笑いながら尚も見ていますと、
今度は、彼女が
『では、お父さんはひげを何でそっていますか?ー 電気ひげそり、それとも』
と、続けようとした時
『わたしの家は母子家庭です』
と誰かが答えて、彼女は絶句してしまいました。
『あちゃー、そんな返しってあるのか』
最近の小学生がしっかりしているのは確かですが、何か子供らしさを感じさせず、しっくりしない気がしきりにしていました。
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館を出ようとすると、案内の別の若い綺麗な女性が、
『見学していただきありがとうございました。どちらからおいでになったでしょうか?』
など少し話もして気遣ってくれ、わたしはデレデレ。袖を引かれて出たけれど、とても気持ちよかった。