聖護院 京極のブログ

天と地の間に新しいことなし(ことわざ)・・・人間の行動は今も昔も変わってはいない

飛び込み営業 

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画像出典:ミリオンセールス

 

営業職の最も厳しいものが「飛び込み営業」かと思います。わたしは、一時期において不動産の飛び込み営業をしたことがあります。新聞広告か何か、紙媒体を見ての応募でした。今から30年位前のことでしょうか。

 

■ 営業職の条件

営業職募集の内容は、

「基本給25万円+一件成約に付き7万円。学歴・職歴不問」

で、これに釣られてしまいました。

要するに実力次第という、何ともまともに勤めなどしたことのないわたしには涙がこぼれる程に美味しそうな募集だったのでした。

 

■ それまではルート営業

入って、数日の内に後悔しました。「飛び込み営業」だったからです。

それまで務めた会社では、営業職でしたがルート営業という定まった客の注文を聞いて商品を届けるもので、早く言えば「御用聞き」でした。ノルマはありませんでしたので、注文がなくても、有っても給料が変わることはありません。

 

■ 飛び込み営業

しかし、今回は不動産の「飛び込み営業」でした。この営業は、今でも行われているのでしょうか。労基に厳しくなっていますので、あるいはわたしの経験したほどのことは無くなているかも知れません。

開発して数十件の建売住宅の計画概要が決定しますと、不動産分譲会社は即座に広告をその地域全般に週を分けて打ちます。主に新聞チラシでした。

 

■ 営業に回る先

その広告を援護に、「飛び込み営業」を行うのです。

賃貸のマンション、老朽化した分譲マンション、府営住宅、公務員宿舎などを徹底的に回ります。一組5-6人が1チームを組み午前と午後に一回ずつ。しかも、翌日には前の日に回ったチームの後を回るのです。取りこぼしを無くするローラー作戦でしょうか。

 

■ 歓迎せざる客

しかし、訪問を受ける側は、不動産を買いたくても買えないとか、買う積もりがない人、先のこととしている人は少なくありません。そういう人にとって、飛び込み営業者が毎日くることは、「嫌がらせ」に近く「招かざる客」であり、「天敵」でした。

 

従って、反応も極めて厳しく、警察を呼ばれることもありましたし、怖いお兄さんが出てきて、首を締めあげられたりしました。

 

■ 首になる人も

こういう日が、多いとやる気は殆ど起きません。それで、出かけて行った地域で営業を放棄して、チーム全体で車で寝ているところを、見回り中の課長に見つかり、減給や首になった人は、数知れませんでしたね。

 

■ 現地に客をの「現地案内状」

「一日、努力しましたが、成果が上がりませんでした」はノルマ給では、通用しません。売り上げに通じる手ごたえを持って帰らなければ、許されません。その手始めが、「現地案内状」でした。これは、買うかも知れない「見込み客」を、分譲地へと土日に現地に案内する案内状です。

 

■ 「現地案内状」を偽造

しかし、努力を重ねても「それじゃあ、一度現地をみてもいい」と言ってくれる人はそうざらに居るものではありません。訪問件数が少ないから「そうなるのだ」と言われ、夕方から午後8時まで、飛び込み営業を継続するように言われることもありました。

 

しかし、それでもダメな時には、「現地案内状」の偽造です。仲間の誰かに偽の案内状にサインをして貰うのです。それで、認印も沢山保持している人もいました。わたしも、今でもその時のハンコを幾つか持っています。何の繋がりもない人のハンコです。

 

■ 現地案内当日

偽造した「現地案内状」ですから、案内する人はいる筈もありません。会社は、当日の朝に「現地案内状」を提出した営業者に、案内する相手方に電話をさせます。確認を取る為に。

 

そこは、偽装した「現地案内状」の家に実際に当日電話をするしかありません。

『本日、分譲住宅地で概要説明をおこなっておりますので、来ていただけませんか』などと、駄目であることは分かっていても、頼んでみるのです。

 

直ぐに怒り出すような人を「現地案内状」に記載しませんので、問題は発生しません。また、当日に電話を掛けるからとも言って置き、「その時断ってくれたらいいから」などを頼み込むこともありました。

 

会社には、「都合が悪くなり、来れない」と言っていますなどと、言ってその場をしのぎますが、何度もまた、続けては使える手ではありません。半年坊主なら、首が掛かっていましたから。

 

 

続きます。