聖護院 京極のブログ

天と地の間に新しいことなし(ことわざ)・・・人間の行動は今も昔も変わってはいない

ウッドショック! (外材が入って来ない)

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画像出典:career ticket

 

建築業や不動産業に従事する人や関連する企業や職場にいる人は、殆ど周知のことと思います。現在、日本の住宅業界ではウッドショックが叫ばれています。外国産の木材の輸入が激減しているのです。

 

日本の木造建築は多くを外材によって成り立っています。日本は世界でも屈指の森林国ではありますが、その多くが安い外材の輸入に押され、森林業は瀕死状態です。

 

従って、昭和20年代に盛んに植林された日本の森林は、十分な手入れもされず放置されています。それが、花粉症などの被害を拡大する要因にもなっているとされています。これらは、戦後の日本の住宅建設の屋台骨を支える目的で盛んに推奨され、植林されたものでした。

 

 

■ ウッドショック 外材が入って来ない

現在、日本において外材(外国からの木材)輸入が僅少かほぼストップをしているようです。これが「ウッドショック」と呼ばれる事態です。

 

■ 何故外材が入って来ないのか

何故外材が入って来ないのか?

といえば、外国が国内需要の増大で輸出の余力がないからです。特にアメリカ。

現在の日本でも、一戸建て住宅の売れ行きは好調です。どの建売住宅会社も事業は好調で、決算でも利益率が大幅に改善して来ています。少なくとも今後1-2年はそれが持続するとする見方が主流です。

 

同じことが、外国でも起きているということです。

 

■ 何故住宅建設が好調なのか?

何故、国内外の住宅建設が好調なのかといえば、新コロナウィルスによる流行の拡大に原因があります。自宅で仕事をするという人が増え、それを機に住宅の購入に動いているとされています。リモートワークであれば、多少の交通不便でも問題は殆どありませんし、安く購入も可能ということで、新規に住宅購入が進んでいるのです。

 

そういう動きは、日本だけではなく外国でも起きている訳です。人の考えることはどこでも同じですね。

 

■ ウッドショックによる悪化点

日本の不動産業界に限って言えば、恐らく新築住宅の供給は大きく減少すると同時に、価格が上昇することが考えられます。需要と供給の関係からいえば、供給が絞られる訳ですから、価格が上がることはまず間違いないでしょう。

 

しかし、そうなると需要は落ちますので、その板挟みになり利幅の減少により体力のない住宅会社や不動産会社は大きな業績不振に陥るかも知れません。以下に想定される可能性を上げました。可能性であって、そうなるとも限りません。

 

① 小さな工務店などの仕事が激減する可能性があります。

 

② 住宅建設に関わる大工、左官など職人さんの仕事が大きく減少、あるいは廃業するしかないということになるかも知れません。

 

③ 不動産会社の倒産や従業員の解雇などもあり得ます。

 

④ 住宅設備機器(キッチン、ガス設備、ユニットバス、照明器具、ドアメーカー、内装業者、トイレ設備業者)などの関連業が打撃を受けることが想定されます。

 

 

 

■ ウッドショックの影響による改善点

ウッドショックの影響による改善点もないわけではありません。考えられる可能性は次のようなものでしょう。

 

① 空き家問題が、解消に向かう可能性があります。

 

② 中古住宅市場が注目され、活況になる可能性があります。

 

② 土地価格が下落し、建物価格の上昇と相殺される可能性があります。

 

③ 不動産業者の整理・淘汰がされる可能性があります。(悪化点とも言えますが)

 

④ 住んでいる家を売ろうとしている人には、高く売れる可能性が出て来た。

 

以上です。これから新築住宅を購入されようとしている人は、少し様子を見た方が良いかも知れません。建築に何十年も関わって来たわたしですが、外材に頼ることには、いつか外国の森林資源を買いあさる日本に、向かい風が吹くと思ってはいました。

 

まさか、こんな形でそれが現実の物になるとは思いもよりませんでした。ならば、日本の森林を開発すれば良いのですが、その手段や業者がすぐさま出てきて、稼働するとも思えません。