そのマガモの「つがい(オスとメス)」を見つけたのは、5月15日の土曜日で妻と娘の二人で買い物からの帰りのことでありました。わたしたちの住まいの近くにある田の横に水路の中であったと、わたしに告げ、その様子を割と細かに語ってくれたのですが、
『へえ、カモが。へえ』
程度のわたしの気のない反応に、気落ちしたのか、もうそれ以上は何も語りませんでした。
■ 日曜日
翌日曜日には、家族で少し離れた大型のショッピングセンターから帰宅しますと、車を降りた足で、
『カモちゃん、見てくる』
と娘が言うので、わたしも付いて行きました。
地上に露出している部分の総延長が200m程ある深めの水路の中央より幾分水上に彼らは見つかりました。子供がプールから上がった時のように、ずぶ濡れの体をブルブルと震わせたり、首を起用に動かして羽繕いを入念に行っておりました。
ヒナが何匹も連なるような時を娘は期待して、しきりにスマホで撮影しておりました。
■ マガモの姿
ネットではマガモは下の画像ような姿で、オスとメスでは羽の配色がまるで違い、別の種類なのかと思われる程です。メスは天敵からの身を守るために保護色となるのは、納得できますね。ネットの記事に依れば、アヒルはマガモを品種改良したものだそうです。
画像出典:Wikipedia
まさしく、近くの水路にいるのはこの通りの「つがい(オスとメス)」です
■ 月曜日
月曜日は多忙で、夕方につがいを見に行きました。二羽とも、小雨の中、満腹であるのか暖を取るためか水路から上がり水路のコンクリート擁壁(ようへき)の天端(てんば)にうずくまり、顔を羽の下に差し込んで置物のように動きません。(冒頭の画像)
しかし、わたしが近づくとオスが羽から顔を少しもたげて胡散臭そうに見返しました。
『寝てるんだから、邪魔するなよ。なんかええ物でもくれるなら別やけど』
という風に言いたそうであり、手ぶらのわたしは2.5mまで寄って、そそくさと引き上げてきました。
■ 火曜日
朝、10時頃またしても見に出かけました。二羽とも不在でした。引越ししたものか、誰かに捕らわれたか、ただの遠征に出掛けたものなのかは不明です。もしかすると、もう帰って来ないのかも知れません。
覗きに来る、人間社会では逮捕もののわたしの様なオヤジには耐えられなかったのでしょうか。