男色(だんしょく又はなんしょく)は男性の同性愛者の事です。が、幸いと言うべきでしょう、わたしは該当しません。しかし、有名作家がある特殊な環境にあった時、一度その可能性を試みても良いような事があったとそのエッセイで告白しています。
しかし、わたしはそのような窮地に陥ってその可能性を感じるというよう経験はありませんし、どんなに女っぽい男性であってもその気にはなりません。女性の方がいい。
■ 男色は文化
百科事典マイペディアに依りますと、
男子の同性愛。〈だんしょく〉ともいい,衆道(しゅどう),若道(にゃくどう),野道とも。日本では仏教渡来以後女犯を禁じられた僧院で始まったらしく,室町以後稚児(ちご)(喝食(かつしき))を愛する風が盛んとなり,戦国以降は尚武の気風から少年武士が男色の対象となった。江戸前期にも男色は流行し,若衆(わかしゅ)歌舞伎の発展に伴って陰間(かげま)も現れた。男色・鶏姦(けいかん)を意味するpederastyはギリシア語に起源するが,西洋でもソクラテスとアルキビアデスの関係や,カエサル,ネロらは常習者だったといわれ,ベルレーヌとランボーの間もよく知られる。
とあります。有名なところでは、信長や家康や芭蕉と言ったところでしょうか。正確には分かりませんが。
まあ、公然と行われていたようで、今よりずっと江戸時代やその前の時代には奔放だったようです。
■ 良さは理解しがたい
男が男を好きになることはあります。いわゆる男気(おとこぎ)に惚れる場合です。しかし、これは性的対称としたものではありません。従って、わたしは理解できないのです。
■ 友人の告白
わたしとある友人が大阪の南のバーで飲んでおりました。今から30年くらい前であったでしょうか。友人は、カウンターの中に美女を見つけてしきりに口説きますが、相手に軽くあしらわれてしました。
その内に酔いも回り、帰りの電車の時間も残されていないので、わたしは切り上げたくなりました。
『そろそろ、かえろか?』
と切り出しました。友人は、陽に焼け更にアルコールで赤くして赤銅色の顔を上げて、充血した目で恨めしそうにわたしを見ました。
『うん。けどなあ』
友人は、飲み足りないというそぶりでしたが、普段よりそれ程アルコールに強くありません。彼の目論見は勿論、カウンターの中の美女にありました。友人は、言葉とは裏腹に、横目を美女に寄せて、一方の目でわたしに軽く目くばせをしました。
「そうか、これからまだ口説くんだな」
とわたしは察して、
『ご武運を』
と笑いながら席を立ちました。友人はにやりと笑って返しました。
■ その後
彼とは数日後に仕事で顔を合わせました。
わたしは、すかさずあの夜のその後の顛末について、さも気無げに聞きました。その方が言いやすいだろうと思ったから。
『あれな。男やった』
『え、お ・と ・こ?』
『いざことを運ぼうという段になって初めて分かったんや』
わたしは、絶句しました。掛ける言葉もありません。
『へえ、へえ~』
二の句が継げません。が、興味がそれに打ち勝ちました。
『それで、どうしたん?』
彼は、にやりと笑って答えませんでした。今はやりの「二刀流」だったのかは聞かず仕舞いでした。