ロシアへの経済制裁は輸入規制より輸出規制が効果的
ロシアへの西側の経済制裁は効いているのか?
と戦争が長引くと誰しもが思います。先日(8月18日)、ネットで2008年のノーベル賞経済学賞を受賞したポール クルーグマン氏が面白い発言していました。
氏の発言の要旨は
「ロシアの経済制裁はロシア産の原油や天然ガスの輸入を規制するよりも、ロシアに輸出することを規制する方が効果がはるかに大きい」
と言うものでした。下記はその記事の全文です。(newsYahoo! 2022/08/18)
「ロシア制裁は予想外の効果を発揮している」…ノーベル賞経済学者のクルーグマン氏が指摘
https://news.yahoo.co.jp/articles/5f7cb78dc995fc70fe9b6762c229ca32b92c51e5/images/000
(なお、Yahoo!の記事は削除までの期間が1週間程度です)
ロシアへの制裁は、輸出制限ではなく輸入制限で予想外の効果を発揮している。 ポール・クルーグマンによると、ロシアでは物を購入することが困難になっており、それが工業生産量と国内総生産を悪化させているという。
歴史的に経済戦争の試みは軍事行動を伴わない限り成功しておらず、西側諸国にいくらかの希望をもたらしていると彼は述べた。 ウクライナ侵攻以来、ロシアは不安定で混沌としたエネルギー取引から利益を得ているようであり、西側の対ロシア制裁が裏目に出たのではないかと考える人もいる。
しかし、ロシア経済を締め付ける措置は予想外の形で機能しており、経済戦争で勝つのは西側であると、ノーベル賞を受賞した著名な経済学者であるポール・クルーグマン(Paul Krugman)は指摘する。
「ロシアは物を売るのには問題ないが、物を買うのにはかなり問題がある」とクルーグマンは2022年8月2日付けのニューヨーク・タイムズ(NYT)への寄稿文で記し、西側諸国はロシアからの輸出を制限させることに固執しているが、ロシアの輸入を制限することが経済に大混乱をもたらしていることを指摘した。
当初の計画では、ロシア産エネルギーを購入しないことと、ロシア産エネルギーの価格制限(西側諸国の指導者が年末までに提案しようとしている)を通じて、ロシアの戦費調達を抑制することを目指していた。
しかし、それは計画通りには進んでいない。データによると、ロシアは戦争開始後3カ月間だけでエネルギーの輸出により240億ドル(約3兆2100億円)を手に入れた。また、西側諸国へのエネルギー供給を制限して価格を上昇させ、経済を不況に近い状態にしている。
Jennifer Sor
成る程と思わせる記事ですね。
ただ、現状のようにロシア産の原油や天然ガスを購入を拒否しても、それとは反対に教授の指摘のようにしても結局のところ、結果は同じでしょう。
物の購入は、出来ない。しかし、原油や天然ガスは買いましょう。
と言うのでは、ロシアは早晩、それらの輸出は絞るか停止するでしょうから。
ヨーロッパの国々がロシア以外から調達しなければならない現状は何一つ変わりません。ただ、その他のロシアが輸入しなければならない物資については、更に輸出を絞りこむことは氏の指摘のとおり効果的でしょうね。