久し振りに、赤ん坊(1歳児)の顔を繁々と観る機会がありました。
赤ん坊の総てが新品で素晴らしい。中でも、眼はわたしを一番惹きつけたものでした。澄んでいて白黒がはっきりしてクリアに輝いていました。
わたしの眼とは随分の違いです。勿論わたしも同じような歳の頃には同じだったと思うけれども、今は黒目の縁が少しぼやけて青みかかったブルーになっております。眼に光は失われ、人生に敗色の濃い色合いです。
恐らく、見なくても良いものを、見てはいけないものを見ずにはいられなかった諸々の事を見て来たそのために、そのようになったのでありましょう。悲しみや怒りで流した涙が、一度ならずともそれを押しとどめてくれたかも知れない。
それに引き換え、赤ん坊の眼は何という美しさであったことでしょう。呆れる位に澄み渡り、どんな宝石で敵わない光り輝いていました。凡そ人を疑い暗鬼することの無い、無垢な瞳。この美しさも、少しずつ変化して幾でありましょう。
この赤ん坊の将来が幸多いことを祈らずにはいられない。