毎年、この時期になると田舎の墓参りに行く。実家の失火ですでの上屋はなく、荒れた田畑が残っているだけである。その一角に墓はある。
わたしと共にある一時期を一緒に過ごした祖母、両親の他に江戸時代初期からの歴代の肉親が眠っている。
墓は何処でも寂しいものではあるが、思えば瞼に浮かぶ祖母や両親がここに眠っていると思うと遣る瀬無くなる。しかし、いつかわたしが死んだら、わたしはここに入りたい。
両親はこの墓から天国に行ったであろうし、そこに通ずる最短の道なのかも知れないと思うから。
ただ、両親には、わたしが行った時に
「よく来たな」
と、親孝行もしていなかった私に言って呉れるだろうか。
どうもわたしには自信がない。