大幅に簡略化しウイルス検出感度も高い、「超高感度抗原検査法」の開発
早稲田大学とJST(科学技術振興機構)は、2020年8月19日、新型コロナウイルスを検出する「超高感度抗原検査法」を共同開発と発表しました。これは、従来のPCR検査の手法を大幅に簡略化しウイルス検出感度も高い、新しい「超高感度抗原検査法(以下、新たな検査法)」の開発に成功したというものです。
記事(本文の色付き部分)によりますと、
新型コロナウイルス感染症の検査方法としては、遺伝子の特定を目的とするPCR検査、インフルエンザなどの罹患を調べる際に用いられる抗原検査、罹患経験の有無を調べる抗体検査、の大きく分けて3つの方法が存在します。
従来の抗原検査は、検出感度の不足や、検出したコロナウイルスを新型か従前のものかを区別できない場合もあることからPCR検査に比べてあまり普及していません。
一方でPCR検査も臨床検査技師による実施が必要であることや、結果が出るまで2日程度要すること、技術的な問題で偽陰性が出やすいことなどの理由から一般のクリニックではなかなか実施できないため、迅速で簡易、そして高い確率でウイルスを検出可能な、新しい抗原検査の普及が待ち望まれています。
そこで同研究グループは、抗原検査が抱える問題点を大幅に改善し、安価で簡易かつ感度の高い新たな検査法を開発しました。
ここでの言葉のポイントは、①『抗原』と②『抗原検査』とは何ぞな?です。
①抗原とは、異物(新コロナウィルスなど)の表面にある抗体が結合するときの目印になるタンパク質です。抗体は、この目印にピッタリくっ付いて、マクロファージに攻撃させます。
② 抗原検査とはウイルスに感染した細胞が特異的に産生する抗原を検知して診断する方法です。
新型コロナウイルスの抗原検査をするキットは30分ほどと非常に最短で検査ができること、特別な検査機器を使わずに検査ができるというメリットがあります。
しかし、診断をつけるためには一定のウイルス量が必要となるため、PCR検査では陽性となったものの無症状の方や、新型コロナウイルス感染症に無症状で感染している方がいるかどうかのスクリーン検査の用途では使うことができません。
この赤字の部分が抗原検査の難点でした。その点をこの研究発表では、改善しています。
新たな検査法には、同研究グループがこれまで取り組んできた極微量タンパク質の超高感度定量測定法を適用しました。マイクロプレートリーダーを活用し、特定の波長の光の吸収変化を測定するだけでウイルスを検出することができます。使用する試薬もPCR検査と比べはるかに安価となり、より高い感度で新型コロナウイルスを検出できます。
昔から言い古された言葉ですが『必要は発明の母』があります。社会が必要としている限り、それにこたえるものが必ずや開発され、社会が改善し暮らしが豊かになる、この記事では、そんな気持ちがしました。早く実用されたらいいですね。