宿題 日記帳の思い出
小学生の頃、夏休み期間すべてに渡って、日記をつけることの宿題がありました。それは、休みが始まって、数日は紙面を埋めることが出来るが、後は何を書けばいいかが、とんと思いつかなくなるものです。
昨日と今日はどう違うのか?その違いが判らないからです。
しかし、年齢を重ねていくと、一日が貴重に感じられる様になります。残された人生が、大方半分を過ぎると思える頃がその始まりでしょうか。そして、一年が矢のごとく過ぎ去って行くとおもえる。
■ 昨日も今日も変わらない
昨日と今日はどう違うのか?
トレースをしたように全くの同じに思える。昨日と今日では違う、そう考えられるのは宿題を出した先生だけで、小学生には、殆ど代わりのないことだと思える。昨日は夕立が降ったが、今日は降らなかった。それ以外に何があだろう、、、
昨日も今日も朝は6時半のラジオ体操をした。それから、少し夏休みの宿題をして、暑い暑いと言って、昼が来た。毎日素麺ばかり、明日だってそうだろう。それから、泳ぎに行って帰って来たら、まだまだ暑い。もう一度泳ぎに行こうか?
陽が落ち切る前に夕食。昼の残りの素麺。水分が取れて一塊になったのを、水に浸して食べる。足りない分は、冷や飯。
蚊帳をつって寝る。また夜が明ける。えーと、それって昨日と同じ。
■ 日記帳には
従って日記帳の真っ白な、日付と曜日を書き次の行には
「昨日に同じ」
と書いてお仕舞。次の日も、また次の日も。自分のやった事しか記憶がないとこうなるしかありません。
■ 宿題提出
その日記帳を提出すると、先生から呼ばれる。
『何?これ、きのうに同じって』
とあきれ顔で問われるが、答えることが出来ない。
『はあ~』
と、同じに変わりはないのだから仕方がないでしょう、と言いたいのだが言える訳もない。言ったら、きっと叱られる。悪くしたら、親に連絡がいくかも知れない。
『すみません』
と、いうしかない。
■ 叱られる
しかし、叱られることは避けられず、
『きのうと同じって、本当にそうか?』
『・・・』
『よーく考えたら、お天気や家の人のやることが違ったりしない?』
『・・・はあ?』
わたしにいくら問い詰めても、「暖簾(のれん)に腕押し」「糠(ぬか)に釘」で埒が明かないと思った先生は、
『よく考えて書き直しなさい』
などと無謀なことをいった。が、直ぐに思い返したらしく、わたしの顔を繁々とみて、
『まあ、今回はいい、、、が、ちゃんと書かなきゃいかんよ』
『はい!』
もう説教が終わるのだと思うとつい元気な返事がでてしまう。
しかし、思うにその日のことでさえ注意散漫で書けていないのに、思い出せる訳がないとその時は思ったと、今思い返してみると思う。
先生、確かに、昨日と今日とは違っています。