聖護院 京極のブログ

天と地の間に新しいことなし(ことわざ)・・・人間の行動は今も昔も変わってはいない

5羽のスズメ

 

画像出典:Canon グローバル


わたしの住まいは、住宅街の角地にあって、道を挟んだ向かい側にも中年夫婦の住まいがある。その家では小鳥を飼っているらしく、毎朝主人が道端に出て、餌の殻を吹いて飛ばす。その作業が終わると、遠くから見ていたらしいスズメが飛んでくる。

 

目的は無論、小鳥の餌の殻やその時に一緒に飛んだ餌その物にある。それが、スズメたちのごちそうなのである。それを待っているのは五羽のスズメたち。

 

五羽は仲が良いらしく必ず連れだって舞い降りてくる。その様子をわたしは家の出窓のカーテン越しに見るのがいつの間にか日課になっている。わたしはその行為をしている自身に苦笑するしかない。

スズメたちは、わたしの肉眼では判別出来ない程の小さな餌をこまめにつついて、残さず食べ尽くす。

 

その間に、自転車も通れば車も通る。その度に、当家の自家用車の下や近くの屋根や植えられた木の茂みの中に逃げる。そして、人の動きを見定め安全であると判断すると、パッと又舞い降りてくる。

 

スズメの中にも豪胆なものが一羽いて、人が通ったり自転車が通り過ぎる位では、それ程慌てない。3-4メートル離れた位置をそれらが通り過ぎると見れば、逃げることはしない。他の仲間は四散しても粘って貼りついている。

 

その分、他の仲間よりは好みの物を摂る事が出来る。

 

■ 仲間

これらの五羽は、一緒の行動をする仲のよい集団ではあると思われるが、食事時には食べ物の取り合いで争いは起きる。内の一番体格のよいものが、常に他を追い払おうとする訳でもない。

中くらいのがそれをする。どういう力加減なのだろう?

それが自身より小柄なものであっても、追い払ったりしない。何故か同じ位の体のもの一羽だけなのである。癪に障る何かが追い払われるものにあるのだろう。

 

追い払われるものも、一時は退いてもそれが度重なると反抗心を出す。それでお互いに空中で威嚇しあう。けれども、決定的に争うことは無く、また地上に降りて餌をついばむ。しかし、追い払うものはどうにも腹が収まらないのか、また追い払おうとする。

 

そして、また空中でいがみ合う。

 

■ 漁夫の利

しかし、これは体の小さなものや気弱な仲間には朗報である。二羽が争っているうちに、残りの餌にありつける漁夫の利となるからである。スズメの社会でも実によくしたものであると、それを見ていてわたしは自然と哄笑が込み上げてくる。

欲張りの二羽の争いの内に、三者があっさりと横取りしてしまう。

 

何と人間と変わらないではないか。争わずに仲良く食べれば皆が平等に食べることが出来るのにと。