聖護院 京極のブログ

天と地の間に新しいことなし(ことわざ)・・・人間の行動は今も昔も変わってはいない

恩師の好きだった歌

 

 

画像出典:世界の民謡・童謡


やや季節外れの感もある歌をネットで聞いて、ふと小学生時代の恩師を思い出すことが、最近にあった。もう恐ろしく古い話である。

わたし達、田舎の小学校はどの学年も二クラスで、5年生の担任はこの恩師であった。

 

恩師は、音楽が得意で運動の方はからっきしだったので、体育の授業は生徒たちの自主性に任せっきりであった。今でなら到底考えられないことだが、その頃の体育の授業には、カリキュラムなどはなかったのかも知れない。

 

恩師は、生徒たちがソフトボールをしたりゴム縄跳びをしたりしているのを、穏やかな目で見守ていた。そして前に張り出した太鼓腹をポンと叩いて、思いがけずも歌を歌い出した。わたしは運動の方はそれ程好きではなかったし、どんくさい程ではないものの、上手くも無かったので、恩師の横に立って同じように観ていることがしばしばあった。

 

その歌は、何とも言えない哀調が帯びており、悲しいわけではないが物憂いかった。何か懐かしい気もしてしていた。

「庭の千草も 虫の音も

枯れて寂しく なりにけり

あゝしらぎく 嗚呼白菊

ひとり遅れて 咲きにけり」

 

↓「庭の千草」のYouTube

https://www.google.com/search?client=firefox-b-d&q=%E5%BA%AD%E3%81%AE%E5%8D%83%E8%8D%89#fpstate=ive&vld=cid:8ad48fb0,vid:f8VozAoww18

 

後年、わたしはそのうたが「庭の千草」であること知った。そして元歌は「蛍の光」と同じアイルランド民謡から来ているという事を。

 

恩師は、朗々と歌い終わると又、横腹をポンと叩いて満足げに少し笑んだ。

わたしは、あの頃のその時だけの事で恩師を、目の前に今でも鮮明に思い浮かべることが出来る。

恩師の他界を知ったのは、中学に入ってからであった。