「渡る世間に鬼はなし」は有名な金言だ。また、”渡る世間は鬼ばかり”は有名なドラマ名である。ある特殊な事情や環境にあってはこの有名な金言は生きている。
ある困難な状況で思いもしない人から助けられた、生きる勇気を与えて貰えた。という話は、度々耳にする。
しかし、日々の平凡な暮らしにあっては、後者が多い。
つまり”渡る世間は鬼ばかり”である。
わたしたちは自分の優位性や自己顕示欲のために、高級車や有名ブランドのバッグや時計、洋服類などを持つ。
確かに、それを見た人は、
『おお、すごい』
とか
『かっこいい!』といってくれるだろう。
しかし、その時だけでおしまいである。実際のところ、他人が裕福(でなくても)で高級車に乗っていても、高級なものを身に着けていてもそれは、それを持っている本人程には関心がない。一時(いっとき)の称賛や羨望はすぐさま雲散霧消(うんさんむしょう)となってしまう。
むしろ、他人の裕福さへの関心よりも、その人達の不幸の方に関心があるだけである。そして、裕福そうな人への不幸には心から同情し得るものである。それは、同情というより、溜飲を下げるといったほうがより適切ではあるが。