ことば遣い
日本の男性アイドルグループを運営するジャニーズ事務所。そこに所属するグループや個人は現在でも相当数がありますが、どのグループも他の事務所のグループや個人とは少し違っています。
それは、言葉遣いです。
例えば、自分たちのずっと先輩グループの先輩メンバーであっても、呼ぶときは「君(くん)」付けです。それは、日本人の感覚からすると、少し違和感があります。他のグループや一般的な日本の事務所であれば、上下関係は厳密で先輩や上司に「君(くん)」付けで呼べば、
『あいつ、頭がおかしくないか?』
とか
『けしからん、目上の人間を馬鹿にしている』
という風に非難の嵐にあい、それは日本中の誰からも正当化されません。日本では日本独特の武士社会による封建制度が長く続き、上下関係は絶対服従でしたし、それは当時の権力にあるものには非常に都合が良かった。
それが、今の日本に有っても色濃く残っています。
しかし、ジャニーズ事務所の先般他界されたジャニー喜多川氏はアメリカ生まれのアメリカ育ちであったことから、日本のこうした上下関係の在り方には、自分の事務所の中では、持ち込みませんでした。従って、自分の会社内ではそのようなことを強要していません。それが良かったのかどうかは別として。入所の当時は当惑したようです。
つまり、アメリカ風なのです。
アメリカでは、先輩の家やオフィースへ行っても、ざっくばらんです。とてもフランクです。
『やあ、トム元気だった?』
『ベンじゃないか、よく来たな』
てな風です。トムはベンにとって先輩だとしても、このようなやり取りになります。日本では、例えばアメリカの映画の吹き替えなどでは、ある場面では敬語付けになっているかと思えば、違う場面ではそれがない、というようなことはいくらでもあり、日本での上映を念頭に吹き替えセリフに苦労していると思いますね。
こういう社会では、下の者が上の者に意見が言いやすく、主張もし易いのではないかと思う。
述べて来たようなアメリカの社会のように日本が成るのはおそらく今世紀では難しいでしょう。それに日本的な社会の成り立ちの良さも否定されるものではないので、残っても悪くはありませんが、その日本の社会は世界の常識ではなく、目上の人の言動が絶対ではない事も念頭に置かねば、良い社会にはなって行かない。